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N的画譚

N町在住、陋巷の名も無き建築物を描くneonによる、日日の作画帖です。
根津の貸本屋の色硝子
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根津の町に点々と遺る象徴的な建物・・・
またひとつそんな建物が無くなってしまったのだが、その最期は見届けようと思っていたので、近所の強みで、足繁く解体の様子を見に通った。

長いことこんな状態であった、旧なかよし文庫。「貸本」の看板も現代では稀少なものだった。
この店については色々なブログで紹介もされているので、ここでは割愛するが、曙ハウス無き根津では、嘗ての下町風情の残り香を漂わせる、残り少ない建物であったと思う。

この解体を見届けたい気持の理由の一つに、看板も気になるが、その硝子窓への執着(笑)があった。というのも、上の写真で言うと、建物右側の側面に、色硝子の窓があったのである。


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この窓をどうするのか・・・もし毀されてしまうなら、何とかしたい気もあったのだ。
それで、天気がすぐれない日が続いたが、しげしげと見に行き、解体業者の人が入り始めた日に聞いてみると、既に骨董業者が引き取ることになっているという。
たまたまその日時間があったので、夕方業者さんが来るのを粘って待って、その一部始終を見ることができた。

しかし相当の古家で、もうここ数年は廃屋であったので、建物裏、内部はかなり傷み、窓を外すのにも一苦労。外してみるともうかなりアブナイ状態でもあり、「売り物にはならないかも」ということだった。
しかし一応持って行くということで、車に乗せる前に撮らせて貰う。

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でもやっぱり昔の、表面のぼこぼこしたダイヤガラスでよく見れば美しくて味がある。

そして、何と家の内部から、もう一つ色硝子の扉が出てきたのだった!

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星のような形の意匠で、青とトパーズ色のガラスで構成され、透明部分も模様の入ったガラスだった。下にローラーが付いていたので、引き戸だったようだ。これが2枚出てきたのだった。
貸本屋の店舗の見えるところにあったのか、それとも住居部分にあったのかは定かではないが、この古家も、出来た当時はハイカラな、可愛らしい建物だったに違いない。近所の子供達がいつでもはいって来られる、開放的な空間だったのだろう。
これらを全て見送り、その後数日間で重機による解体が行われ、現在すっかり更地となった。
せめてこの色硝子たちを見送れたことが、ほんの少しだが慰めとなったのだった。

いつか此処も、ワタシなりに画に描く日が来るかも知れない。
まだ具体的なものは何も無いけれど、勿論色硝子付きで。。。
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N的谷根千shop案内



展示も近くなってきました。
4/26(土)~GWは皆様是非、下町 谷中・根津・千駄木散歩にお出かけ下さい。

というわけで、今回は私的ではありますが、お気に入りの地元のお店をピックアップです。

昨年から今年にかけて、谷中には新しいお店が幾つか出来たのですが、その中でも当初から好きになってしまったお店が2軒あります。

ひとつは、プフレーゲライヒト。この、変わった名前のお店はnidoさんが「大倉さんが好きそうなお店ができましたよ~」と教えてくれたお店。小さいけれど清潔感あるディスプレイは、何でも器用に手作りなさるオーナーの来(ライ)さんのセンスに溢れています。ヴァイオリンの製造を学んだ彼女らしい、色々な道具や釘などの商品もあり、雑貨屋さんですがその括りを超えた楽しいお店です。
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お店に伺うと色々ほしくなってしまうのですが、先日はしっかりした縫製の、布バッグを戴きました。洗練された縞の模様、小振りのサイズ、巾着のかたちも可愛く、これもライさんがひとつずつ手作りなさっています。私と同じく透き通った色のものがお好きとのことで、バッグ横のプラスチックのボタンブローチもありそうでない、可愛いものです。

もうひとつは、nidoからもすぐの谷中よみせ通り沿いに最近できた、Maisという洋服屋さん・・・というか雰囲気はブティック。でも私が紹介するくらいですから、入りやすい雰囲気と、あたりに溶け込む温かさがあります。まだたった一度はいっただけですが、これからは行きつけになるでしょう。
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ここの商品はご主人がデザインされた洋服を奥様がお店で販売担当なさっている、ということでしたが、サイズも小振りな感じで私にも合いそうだし、やわらかな素材で見た目にも心地よく、それでも何処かに可愛さのあるデザインが素敵です。
小物のセレクトもセンス好く、一目で気に入ってしまったこのピンブローチ兼髪飾りを戴いて大事にしています。お店では柔らかい綿マフラーの首もとをこれで留めてありましたが、私はバッグにつけたり黒い服の襟に留めたり、着物のときに髪に挿したりとフル活用しています。

最後にもう一軒、根津にあるアンティーク着物の店、Ponia-pon
アンティーク着物ファンにはかなり有名なお店ですが、私は家が近所なのでスーパーの買い物袋を提げて前を通ることもしょっちゅうです。
店主大野さんの目に留まった大正昭和のうつくしい着物は、いつまで見ていても飽きない魅力に溢れています。モダンであり華やかであると思えば、儚く無性になつかしい想いを誘うものも。。_Y3H1460aaa.jpg

閑なときは着物のお手入れや、帯結びの秘策、そして非売品の珍品なども見せていただいたり教えて頂いたり。この縞の着物は汚れや傷みもあったため割と安い値段で出ていましたが、相談して袖口を織り込んで汚れを見えなく仕立て直して戴いて着ています。自分の着物のなかでもとても気に入って愛着もある一枚です。古い物の好さを今に甦らせる、こんな素敵なお店が近くにあるのはまことにシアワセなことです~。

どのお店も共通しているのは、お店のオーナーさんが魅力的で学べる何かを持っているということ、自分の感覚と(僭越ですが)似通う部分があるのではと思われること。そして、作り手の意思が伝わる商品を置いているということでしょうか。

勿論他にも沢山この町には素敵なお店があるのですが、最近特に・・・と言われるとこの3店。そして勿論、そこにnidoも入れましょう。

*nido展のほうの私の在店日予定はまだあまりはっきりしませんので、もしお見えになる日がわかりましたらメールやコメント(非公開も可)いただけると助かります。よろしくお願いいたします。
変わりゆく町



展示では皆様ありがとうございました。
いずれまた今回の展示の後のことを書きたいと思っています。

今回は地元のこと。

私の家の近所で、つい先頃、とても愛着があった建物が、つづけて幾つもなくなっていきました。その中のひとつに、古い住居表示プレートを付けていた家がありました。
私の家は文京区と台東区の境目にあり、そのすぐ近所の家は台東区側だったのですが、かつては「下谷区」と言われた地域でした。もうこの呼称もほとんど見ることも聞くこともなくなっていましたが、この家だけはずっとこの旧い町名を冠した門柱があったのです。
それがいきなり、白いシートに覆われてしまいました。
現場の方に思い切ってこのプレートを引き取らせて貰えないかと頼んだところ、「いいっすよ~」。あっさり許可を貰えました。それがこの画像のもの。ホーロー製です。文字もなかなか味わいのあるものです。

もうひとつ大好きだった近所の赤錆トタンの家も、同時期に解体されました。そして、解体こそしていませんが、根津の宮の湯さんも夏前に廃業してしまったのです。こちらはまだ建物はそのままで、この先一体どうなるのか、詳細はわからないのです。

少しずつ、この下町路地もまた変わりつつあります。
でもやっぱりこの町を愛しているワタシは、どういうふうになっていくのかも、ずっと見届けて行きたいと思っているのです。
幻燈


16,17日は根津神社の秋祭り。今年は特に「御遷座三百年大祭」というもので、三基の本社御輿が巡行するとかで、これは戦後初めてのことだそうだ。明日が本番であるが、今日も根津の七ヶ町からそれぞれの御神輿が出て賑わった。御神輿を担いだ人には、お弁当と入浴券が配られる。終わったら宮ノ湯で汗を流して下さい、というわけだ。

私の家のはす向かいに、この町内の御神輿の発着する御神酒所があり、朝からお囃子の音が賑やかだ。町名を染め抜いたいなせな法被を着た男衆が往き来する。
夕暮れになると、いつもは暗い路地に、この時ばかりはぼんぼり型の提灯が点々とつく。この色が何ともふんわりした淡紅色で、華やかな中にもほんのり寂しさもあるような、切なくなつかしい色なのである。
遠い昔の夜の空気にふっと触れるような、そんな気持ちにさせてくれる色。まるで幻燈のような。
多分私は、こんな色を描きたいのだ。

明日は今日にもまして賑わうであろうこの町。
やっとひっそりした夜の時間に、すずしい風がほんの少し、灯りを揺らしながら過ぎてゆく。
一箱古本市


今日は地元谷根千地区のイベントのご紹介です。
4/29(祝)、第二回不忍ブックストリートの「一箱古本市」が行われます。谷中・根津・千駄木にはとても個性的な新刊書店、古書店、図書館、喫茶店やカフェ、ギャラリーなどが点在しています。散歩好き、本好きの人たちには歩くだけでも楽しい地域です。その町で、100人の店主が一日だけ、一箱分だけの古本を出品して古本市が行われます。
楽しいスタンプラリーなどもあり、秘密の景品も。。。是非興味のある方は、歩いてみて下さい。


公式HP http://sbs.yanesen.org/
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