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N的画譚

N町在住、陋巷の名も無き建築物を描くneonによる、日日の作画帖です。
東京展の・・・
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展示の後はどうものんびりしてしまいがちなのですが、先日
はたと気が付いた。今年は9月早々に東京展。
ということは、展示のDMは8月アタマには出来上がっていないといけない。
ということは、DMに乗せる作品は、7月中旬にはできあがっていないとイケナイ。
あとひと月。
ひと月・・・ってすぐですよ。

でも、とりあえず何のご加護か、DM用の新作の概要だけは、何故か先日
急に頭の中に浮かんだのでほぼそれで行けると思う。
のですが、さてひと月で思い通りに描きあげられるか・・・(汗)

でも多分こうして事前にはっきり画が頭のなかに浮かぶときは
行ける時なので(笑)大丈夫だろう。・・・多分。。(笑)

今度は、関西の方が「やっぱり東京でも観たい」と
思って下さるようなのが作りたい。
そして、この9月の東京展をもって、しばらくカフェー建築を抒情的に描く?スタイルは
お休みにします。
いや、画はお休みしませんよ・・・。

よろしくお願いします。
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陋巷の灰ピンク












陋巷のすがれた町を歩いていると、時々現れるのが
こうしたモルタルのピンク色の外壁だ。
この色がとても好きである。

こういった町の建物を描く時には、私は
形状はかなりデフォルメしたとしても、色にはそれなりに
気を配る。やはり、巷にはよくある色とそうでない色とがある。
形をそのままに描かなくても、色の組み合わせで
何となく場末の色感というのは出せるのではないかと思ったりする。

その中で、このピンク色を自分の中でだけ<灰ピンク>と
呼んでいる。私の気に入っているアクリル絵の具のとあるピンクに
グレーを足すと、ちょうどこんな色になるのである。
やはり、私の好きな町は根底にグレーなものを抱えているのだろうか。

モルタルの質感は、色彩を粗く曖昧な雰囲気にするし、そこに
経年の染みや汚れが塗されると、もっと複雑で深みや翳りを纏ったものになる。
そしてこの<灰ピンク>は、それでもどこかに微かな色気と
ささやかな華を匂わせているのが惹かれる理由だろうかとも思う。

Y町辺り












晩い秋、というよりもう冬の始まりのような日が続いて、空気が乾き
空が晴れれば閑と抜けて、風はぴりりとつめたくなる。
朝の空気の感じが、年の瀬も遠くないなと思わせるようになってきた。

こうした季節になるとすっかり枯れ切ったようなY町を歩くのは
とても心やすらぐ行為で、それは周囲と自分が同化するようにも思えるからだろうか。
毎年決まってこの季節にこの界隈に来るようになって何年か経つが、
覚えている道や建物もあれば、記憶に無いものもあって
だから町を歩くのはやめられないのだと思う。

先日はこの町角にふとぶちあたって、撮ってみたが
自分的には随分と絵画的な(笑)印象であったのだ。
普通の人にとっては何処にも絵画的要素など見当たらない、ありきたりの
愛想の無い建物に違いないが、抜けるような蒼い空に
モルタルの汚れた側面のスリートンカラー、そして
斜めに落ちた陰影がとても印象的で惹かれた。

ベン・ニコルソンの絵画が好きでたまらないが、あんな
無駄のない美しい造形が、此処から画面に立ち上がってくるような
そんな気さえした。
実はそんな画を描きたいのだよねぇ、心から・・・。
タイルと色硝子











少しずつ次の展示に向けて準備を始めている。

また全ての作品を描きおろすため、資料写真の整理から。。。
撮ったままプリントしていないものを紙焼きし、
小さな簡易アルバムに何冊もまとめていつでも参照できるようにしておく。
机上で、或いは出先でもちょっとぱらぱら捲れるように。

来年度は、私の出発点にもなった旧遊廓の
モダンで不思議な和洋mixのカフェー建築に絞って描くつもりだ。

そして、そこに欠かせないのがタイルと色硝子。
色硝子は、ステンドガラスと言ってもいいのだが、やはり私は
あの戦前の少し野暮ったい、光り方のやわらかいダイヤガラスには
色硝子という文字がぴったりするように思う。

豆タイルの写真も随分撮った。
その意匠の凝りよう、バリエーションは瞠目するばかりだ。
一体どんなタイル職人が、かつて全国にどれだけ居たのだろうか。

その宝石のようなものが散りばめられた建物たちは、
廓とか赤線とかいった生々しい要素をやわらげて、私たちを
暫し過去の夢の世界にいざなってくれるのだ。

M町とは何処
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・・・というお尋ねを戴いたので、

あまり参考にならない写真を(笑)




・・・こんなとこ。M町。

やさぐれるでしょ。
連休中に













晴天の続いた連休中に
ワタシが居た所と言えば、
こんな所でした(笑)。

何処へ行っても異常に混んでる休み中は
人っ子一人居ない場所が好いね~。

なかなか好い取材が出来たので
これから画に反映していきます。
ではまた~。
床屋を描きたい
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ちょっと体調がすぐれないのと、色々雑事で落ち着かないのとで
画のアップは、今月はあまり出来ないかも知れません・・・。

今回も写真でお茶を濁します。

床屋を、できれば海の近くの感じで
ひとつ描いてみようとずっと思っているのですが、
モチーフにどれを持って来ようかと迷っています。

かなり好い感じのこの床屋は
京急のある駅近くのN理髪店、多分現存で
一見廃業かとも思える佇まいですが、営業しているようです。

すばらしく素敵な空色のペンキと
素晴らしくチャーミングな煙突が心を掴みますね。
煙突ラプソディ














Y町は、出かけると決めれば案外さくっと行ける場所ではある。
小洒落た店の一軒も無ければコンビニさえ以前は少なくて、それをわきまえて或る程度の心づもりをすれば、すがれたスレッカラシには居心地の良い場所である(笑)。

車の多い通りから一歩はいっていけば、そこはもう町工場の坩堝。
日常には目にすることのないフォルムと、正体不明の匂いと、規則正しいつつましい機械音、剥き出しの金属の素材感、吐き出ている煙・・・。

この町近辺一帯が背負ってきた翳の部分のことは頭のなかに勿論置いて、だが描く素材として捉えるときは、一旦それは白紙にして、そして自分が心動かされたフォルムなどの美しさなどの要素だけを掬い取って、換骨奪胎しながら、自分だけの世界を画面にして行く、それだけ。描きたいのはリアルではなく、ファンタジーだから。とは言え多分どこかにちょっと毒を持った辛口の、なのだけれど。まあお許しを。



*****次回よりまた画をお届けする予定です。*****


光あるうちに











原 芳市(はら よしいち)さんの写真展「光あるうちに」@銀座ニコンサロンに伺って来た。

原さんとは、1999年にご著書の「ストリップのある街」(自由国民社)の時に、街の地図の画を何十枚も描かせて頂いてからの御縁である。

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この色地図の仕事は、今でもとても気に入っている楽しい仕事だった。

原さんはずっとストリッパーを撮っておられる方だが、第17回準太陽賞を受賞、2000年代に入って「現の闇」(@ニコン)「幻の刻」(ギャラリー蒼穹舎)「常世の虫」(@サードディストリクトギャラリー)など、心象を投影したような展示が続き、2010年から「光あるうちに」というタイトルのもと、幾つかのギャラリーでの企画展示をなさった。都内で催された展示はだいたい伺って拝見していたが、今回の銀座ニコンサロンでの展示は、その集大成とも言えるようなものかと思う。


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全70余点に及ぶ今回の展示の作品は、どれも声高なものではなくて、どちらか言えば地味ではあるけれど、どの作品にも「光りあるうちに(光の中を歩め)というフレーズが呪文のようにわが身をかすめていた」という言葉の通り、限りある生を意識しながらも、だからこその生の一瞬の輝きや翳りを掬い取っているようにも思われる。

原さんはとても優しい、情のふかい人で(と私には思われる)、いつも会えば微笑していて、私なんぞのことも励まして下さる。以前お住まいになっていたのが横浜の嘗てのわたしの実家にも近かった(偶然)こともあって、原さんの撮る横浜の写真は、私が喪ってしまった諸々を想起させる切なさもあるのだけれど、どの作品にもそれが今生の一枚となるかもしれない、そういう想いで一瞬にすべてを籠めてシャッターを切っている、そんな写真家の静かな覚悟が見え隠れする。


光あるうちに
原 芳市 写真展

銀座ニコンサロン
2012.2.15~2.28 10:30~18:30(最終日~15:00)



*「現の闇」「光あるうちに」写真集も
会場で販売しています。是非に。


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春は鉄までもが













ほんの少しずつ・・・ではあるが、根津の路地に当たる陽ざしが
明るみを帯びてくるようになった。そして夕暮れの時間が延びてくるように
感じられる。春はもう少し・・・もうちょっとだ。

寒過ぎる日が続いて渋っていた工場巡りも早く再開したいし
自分の周辺の事ごとも、あともう暫くで片付いて行きそうな気配ではある。

古本屋で見つけた小関智弘さんの町工場の技術の本を読んでいると、
本当に色々な意味で力づけられるのだが、この人の文章自体がとても好きだ。
淡々としているけれど、想いが行間に籠められている。
まさに内容も文章も燻し銀の味わい。

春は、鉄までもが匂うそうだ。




*****今月末くらいまで画はお休みして、
   資料用に撮りためた写真を週1ペースでアップしています*****
華と夢と歌
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画を描いて、展覧して、値段をつけて売る。
そうしたことを細々と10年以上やっていることになるのだが、
自分でも好いと思った作品が売れなかったり、意外なものが売れたりと
予測がつかないことも多々あるのが常だ。

だが、最近になって振り返ると
見る人が欲しいと思う作品、というのは(私の作品に限って言えば)どうも

華がある
夢がある
歌がある

この三点のいずれかを有しているような気がする。

さて、私の取材している建物の写真を眺めていくと
華も無く、夢も歌も無いようなものばかりなのだが(笑)。。。



*****今月末くらいまで、画はお休みして
資料用に撮りためた写真をアップしています*****
ひっそりと
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解りきったことではあるが、年々古い建物は消失してゆく。
まだまだ使えるだろうにと思う立派なものが解体されたり、保存の声にも拘わらず行政によってそれが行われる場合もあるし、火災や天災によって無くなることも、荒れ果てて崩おれるように消えていくものもある。

東京にはもはや見るべきものは無くなったという言葉も、最近はよく耳にするようになった。
「陋巷」などという言葉を画のタイトルに使ったりすると、
「もう東京には陋巷などは無いでしょう」と言われたりする。

そうだろうか。

昨年晩秋頃から町工場を画題にと思い、そうした場所を拾うように歩き始めたが、
都内にもまだ多くの心惹く建物が、(ワタシ的には)ひっそりと埋もれるようにあちこちに残っているのに驚かされることが余りに多いのだ。

それらは本当に名も無き物件ではある。
個人宅や極小の町工場、倉庫や商店、そして社会から忘れ去られたような施設。。。

足で踏みしめ掌で触れながら、紐解くように丁寧に町の襞を辿って行けば、
町もどこかいざなうように、知らなかった小路、知らなかった建物に巡り合わせてくれる、
そんな気さえするのだった。



*****来月いっぱいまで、画はお休みして
  過去に撮りためた資料用の写真をアップしています。*****
ハイカラ・アパートメント
西日暮里~町屋 042












来月くらいまでは、故あって画の記事はお休みして
過去に資料用に撮り貯めた写真を週1ペースでアップしています。



今はひっそりとした一角に埋もれるように息づいているこのアパートも
出来た当時は随分とハイカラなものではなかったかと思ってしまう
このペパーミント・グリーンの塗装と、
真鍮の扉の取っ手。
そしてアパートの名前からして、
色々な物語が回顧できそうな気がするが、
すがれた町の雰囲気は、そんな想いを
記憶の彼方に 押し黙って封印してしまいそうな
・・・

でもそんな無口なこの町が好きなのだった。
冬の青空×・・・













来月くらいまで、諸々の事情により
画の資料にするために撮りためた写真を
週1程度のペースでアップ致します。
暫しお気楽にお立ち寄り下さい。




冬の空の青・・・
純青(ひたさお)と言いたくなるような色、
そこに何を掛け合わせようというのか、
綺麗なXを描いて
路地裏の木製の物干し竿が傾いている・・・
閑かで、地味で、澄んだ
こんな昼下がりが好きだ。



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