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N的画譚

N町在住、陋巷の名も無き建築物を描くneonによる、日日の作画帖です。
電線エレジー
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場末の町を歩くようになって久しいのだが、知らないうちに、ちょっとした嗅覚のようなものが働くようになったらしい。知らない町でも何故かあの通りには古い一角がありそうだとか、ここの路地を曲がってみたほうがいいとか、おかしなカンがあたることが多いのである。この画に描いたところもそんなふうにして見つけた一角だ。そしてそんなところは必ずそこはかとない翳りと、張り巡らされた電線と、少し傾いた電柱がある。電線を画の中に描くのをためらう人もいるだろう。だが私にとっては、この線は「電線」であると同時に直截的な心の表出線だ。自己否定と肯定とがどこかで混じり合って、描かせているような気がする。
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