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N的画譚

N町在住、陋巷の名も無き建築物を描くneonによる、日日の作画帖です。
儚く脆く


旧遊廓や赤線などの建物に遺っている、昭和初期の豆タイルやステンドグラスの意匠は、現代には無い儚い美しさがあって、ただもう見れば惹かれてしまう。初めて出会った橋本遊廓のステンドグラスの印象は、つよくつよく今も私のまなうらに刻印されてしまっている。以来、そうした意匠のある建築を好んで見に行ったが、同じく京都の五番町の石梅楼や、中書島の遊廓、豆タイルならば都内の洲崎、鳩の町など、その残り香がまだ僅かにあった。

ステンドグラスの模様は様々であるけれど、私はこの画のようなモンドリアン・パターンが特に好きだ。直線と曲線の交錯が流麗で、ところどころに散りばめられる色硝子は、宝石のようにも見える。

この画は画面全体の半分以上を黒で塗りつぶし、そこに何か文字を入れてみようかなどと思って描いたもの。未だに黒いままだが。。。

タイトル無し 18×14㎝の一部 2005
麻紙ボードにアクリルガッシュ、ジェッソ、ミリペン、パステル


追記:本日カウンターが20000ヒットを越えました。2月にブログを起ちあげて半年余り、沢山の方にご訪問頂き、またここから沢山の素敵な出逢いが生まれましたことを、心から感謝致しますと共に嬉しく思っております。どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。
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晩夏


晩夏という言葉が好きだ。
このところ少しずつ、夕方の風がすずしくなってきている。
油蝉ではなく、つくつく法師の声が聞こえてくる。
暑い暑いと思っている間に、いつの間にか季節は移ろうのだ。

・・・というわけで、少々感傷的になってみました。(笑)
晩夏にふさわしい画がなかったかなと思い、過去作を見たのですが、2003年の個展に出したこの画が好いかもしれないと思って出してみました。京浜工業地帯の風景、手前の埋め立て地は思い切ってシンプルな形にしてあります。
工場と、煙突と、鉄塔と、いずれも殺伐とした風景なのですが、暮れ方にぽっと灯りがともり始める頃は、何だかふと心がうるむ風景になるのです。

[河口付近] 727×500㎜ 2002
麻紙ボードにパステル、アクリルガッシュ、色鉛筆、顔彩、墨
紫陽花色の家


いつもお世話になっているmasaさんが、昨日ご自分のエントリーに「N的家譚」という記事を書いて下さいました。大変ありがとうございます。恐縮です。お返しと言っては何ですが、masaさん写真から想い出した画をアップいたしました。Nomadの展示に出しておりました一枚。これもアンテナがアクセントになっております。場所は谷中。梅雨時に描いたので何となくこんな色合いです。かたちがとても面白いお宅でした。

[紫陽花色の家] 14×18cm アクリルガッシュ、パステル、鉛筆、ミリペン 個人蔵 2006
アンテナ日和


春先に谷中を歩いていたら、こんな家があったのだ。二階の上の物干し台と思しき処に、アンテナが妙に沢山立っていて、まるでアンテナの背比べといった感じ。何だこれは。。。と見ているうちに、そのアンバランスが可笑しくて、どことなくかはゆらしくも見え(この仮名遣いは萩原朔太郎のパクリ)、どーにもこーにも描いてみたくなった。下町の家々のアンテナは、思いも掛けないところから延びていたり、変にアンバランスに長かったりと、面白いアクセントになっているのが大好きだ。そしてそれを画のなかに、細い線で描き入れるのはとても愉しい作業だ。
春先の好日で、青い空にアンテナが映えて、「アンテナ日和」というタイトルのほうが先にできていたような。。。

[アンテナ日和] 12×12㎝ 画用紙にミリペン、筆ペン 2006
トタンblues


「トタンblues」というタイトルの画をいくつか描いている。
この画は2001年頃描いて、結局個展には出さずに、タイトルも特に無いままだった。これはモチーフがあって、かつて鶴見にあった貝殻海岸という河口付近の、バラック街を描いたものである。本当に今にも毀れそうな建物が、水際にずらりと並んでいた光景を今も忘れない。
だが一昨年の護岸工事でここも綺麗サッパリ消えてなくなり、幻の光景になってしまった。この張り出した家の、トタンの錆色と、ブルーが目に焼き付いている。
blues、は青の「ブルー」と音楽の「ブルース」を掛けているのだが、何となく相応しいような取り合わせに思えて、そんなタイトルでこの画も呼んでみたくなった。

[トタンblues] 606×455㎜ 2001 個人蔵
麻紙ボードにパステル、墨、岩絵の具、アクリルガッシュ、色鉛筆
桐生の町並


桐生市街は戦災に遭わなかったため、古くからの建物が多く遺り、保存され大切にされているように思う。織物の町として栄えた歴史は、そこかしこに近代遺産として遺され、そのあたりは小道さん銀ねずみさんのブログなどに詳しい。

桐生のメインストリートは本町通り、先日のエントリーの天満宮からまっすぐの道。だがやさぐれ者は日の当たらない裏道を行くのが定石。一本二本裏の細い路をじぐざぐと歩いてみた。
昨夕の夕焼


いのうえさんGG-1さんのブログで昨日の夕焼けの画像をアップなさっているのを見て、急遽拙ブログでもアップ。あまりに素晴らしい彩度の夕焼けだったので、自宅マンションベランダより撮影。根津ではこんなふうでした。あたり一面何とも言えない黄金色~薔薇色~茜色に染まって、この世ならぬ景色のように見えました。これまでも夕焼けの時は、ベランダからいつも撮ってみていますが、今回は中でも明度が図抜けていたように思われました。
(桐生の町については、必ず次回にアップ致します~)
酷暑の桐生より



2泊3日で、群馬県桐生市に行ってきました。
半端でない暑さだったのですが、1日目は鉄系の子供に付き合って「わてつ」(わたらせ渓谷鉄道)の旅、2日目は自由時間を貰って桐生の町歩きと、松本竣介作品に会いに大川美術館、そして夜は桐生八木節祭りクライマックス鉾の曳き違いを見てきました。

画像は今回は写真です。
2日目町歩きのとき、桐生天満宮での骨董市でのショット。
見るからに涼しげでした。
和ガラスが大好きな私、夏場ということで御覧のような昭和初期の氷コップがだいぶ出ていて、思わず撮影。しかしこれは買わずに(欲しかったけど)、小さなショットグラス(何と300円也)をひとつ購入。下の写真の、手前オレンジ色のもの。他は少しずつ溜まったささやかなコレクション。冷酒用です。あ、ちなみに桐生では地元のお酒「赤城山」をいただきました。すっきりした辛口でした。

20060807145258.jpg


趣ある桐生の町並については、次回に。。。

*(予め資料や写真、情報を下さいましたブロガーの皆様、ありがとうございました)
銀座幽霊


皆様、暑中お見舞い申し上げます。
梅雨明けと共に日中はかなりの暑さ。ということで、暑気払いに今日の画像。。。タイトルからしてちょっと涼感ありやなしや?

これは2001年に東京創元社から刊行された創元推理文庫の、大阪圭吉著『銀座幽霊』表紙原画。実際の本の表紙は・・・
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