
引き続き、我が町の周辺譚その3です。
根津に越した頃、「粋な所に越したねえ」と何人かの方に言われた。年配の男性で、荷風などの文学好きと思われる方がほとんど。そのイメージはおそらく根津にかつて遊廓があったことからくると思われる。だが、実際根津遊廓は明治21年に洲崎に移転させられた(近くの帝大生に悪影響を及ぼすということで)ので、以来遊廓そのものはこの町から無くなってしまっている。
建物で言っても、その面影を遺していた上海楼という旅館も先年無くなったし、マンションばかりが増えて、遊廓の残香はほとんど見あたらない。そう思っていた矢先、不忍通りを一本裏に入った通りにあるお米屋さんのおじさんに、「向かいの家は、昔の遊廓の跡だよ」と言われて吃驚した。
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