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N的画譚

N町在住、陋巷の名も無き建築物を描くneonによる、日日の作画帖です。
ヤナヰ商店


根津と千駄木のちょうど間の交差点の角に、この建物がある。
と言っても、実際はもっともっとボロボロ状態で、この画を見て探しても判らないかもしれない。
「ヤナヰ」という屋号も、よく見ないと読み取れない。建物の裏側はもっと酷く傷んでいる。

根津のあたりでは、時々古い建物をスケッチしている年配の方を見かけるが、此処を描いて居る人には会ったことはないし、不忍通りの車の喧噪と排気ガスまみれになっているこの建物は「見たままを描く」人たちのモチーフには、なかなかなり得ないだろう。

だが佇んでよく見ると、この建物自体の形はなかなかユニークで美しいのだ。汚れてボロボロでも、形自体の佳さに純粋に惹かれることが私はよくある。それで私はこの建物の在りし日の姿、を、いとおしく描いてみたい気持ちにかられたのだ。大袈裟な言い方だけれど、どんな建物を描くときでも、どこか夢見るような部分を描いてみたいといつも想いながら筆をとるのである。

[ヤナヰ商店] 2005 14×18cm 個人蔵
麻紙ボードにジェッソ、アクリルガッシュ、パステル、ミリペン

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