
海が好きだ。
どんな海でも、ちらっと見えさえすれば心が波立つ。
私の生まれ育った横浜でいつも見ていたのは、コンビナートの立ち並ぶ綺麗とは言えない海であったけれど、それでも見れば痛いほどなつかしい。
横長の画面に、黒い海を描いてみたかった。
黒いけれど、どす黒いのではなく、汚れているのでもなく、
でも青いまっさらな海ではない、透明な風が吹いていて、
そしていつでも心が帰っていく場所のような、そんな感じで。。。
タイトルは、坂口安吾の小説にあるもの。
十代の頃、中身よりこのタイトルが好きだった。
[海景] 2004 19×45cm
麻紙ボードに、ジェッソ、アクリルガッシュ