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N的画譚

N町在住、陋巷の名も無き建築物を描くneonによる、日日の作画帖です。
くすみを帯びた色





久しぶりに少し大きめの画を描き始めた。
と言っても332×530mmくらいなのであるが。

先日解体間近の勝ち鬨の長屋群にまた会いに行った。
本格的な解体はどうやら今日かららしいが、まだ何とか間に合って、路地にも入ることができ、本当に最後の閑けさのなかに佇んでいた長屋たちに会うことが出来た。

今回もとてもつよく感じたことだったが、これだけまとまった長屋群のなかを歩くと、そのくすんだ色合いというものを改めて認識する。
かつてはこうした木と甍の家々の醸し出す、仄暗い、やわらかい色合いが町を造っていたのだ。家々の庇が重なり合うように続き、昼でも暗い細い路地が這い、隣との境はあって無いような近さ。
住んでいる人にとっては快適とばかりは言えないことは容易に想像できるが、だからといって、一点の曇りもないピカピカの建物がいいかと言えば、そうとも言えないだろう。

そしてこうした古い建物をPCの画面で見る機会は多くなったけれど、やはりそうした画像はかなり色合いを調整したりしている場合も多いようで、実際を見ると、私にはずっとずっとくすんで見える。そして少しその中ではほっとするのだ。

今回アップした画はまだ本当に下塗りの途中で、まだまだ色を重ねる予定だが、こんな感じで描いているという過程というのも面白いかと、出してみた。これは勝ち鬨というわけではないが、重なる想いは同じである。何処かなつかしい、あの仄暗さとやさしさを、画面に少しでも出していきたいのだけれど。。。
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