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N的画譚

N町在住、陋巷の名も無き建築物を描くneonによる、日日の作画帖です。
タテモノのカタチ展~予告編*2



「タテモノのカタチ」展お知らせを、拙HP、newsのほうにもアップしましたので、どうぞ覗いて下さいませ。

さて、予告編2。引き続き「夢幻譚」の部分スキャン画像と共に。。。

この画を描き上げる前に、とんぼ返りながらこの建物のある町を訪れる機会があったのだが、往時の建物の減り具合とともに、悲しい想いをしたことがあった。詳しく書くのは憚られるが、この町に住んでいるひとたちの心を踏みにじるような、そして心を閉ざさせてしまうような、礼をしらない訪問者(主に団体で来るそうだ)が増えたのだという。話を聞いていて、本当に悲しく思った。どんな調査目的があるにせよ、また興味本位で行くにせよ、この町のデリケートさを理解してから、住む人への配慮をもって行くなら行って欲しいと心から思う。

長くなるが、木村聡の「赤線跡を歩く」の前書きに、

 これは読者の皆様へのお願いですが、もし街を訪ねたとしても、
  ○無遠慮にカメラを向けたり、二、三人で出かけて写真のお宅の前
   で立ち話をしたり、指さしたりすることは絶対に避けて下さい。
  ○どうか一人でひっそりと出かけて、何かを感じて下さい。
  ○さっと通り過ぎて、風のように立ち去って下さい。

とあるのだが、私はこの文章故に、彼の仕事に対しては信頼がおけると今でも思っている。嘗て遊廓、赤線、青線などと呼ばれていた町を訪れる者の、これは最低限の礼儀であろう。

だから私も、もうこのブログにも、この町を喧伝するような内容は一切書かないつもりでいる。だが、私にとってこの町は、20年前に出会ってからずっと忘れがたい記憶を刻んでくれた町であり、画のモチーフとしてはおそらく一生顕ち現れてくるだろう。現実の町は往時の姿を消しつつあるが、その過去の幻影だけはずっと心にしまっておきたいと思っている。
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