
前回の続き。
画の本を創る、ということを考えるにあたって、そのスタイルに非常に拘ってしまうのは本末転倒のようであるが、私のバアイに限ってはどうしてもその部分を他人任せにできない気持ちがあって、それを念頭に置いてしまう。言い方を変えると、「本」という形式がとても好きなのだ。
そこに展開する画にも、或る意味一貫性を持たせてまとまりのあるものにしたい。その頁ページが独立して美しい、・・・まあそれは遙かな理想でしかないのだが。たとえば望月通陽さんの画の本などは崇高なる憧れである。
今回「タテモノのカタチ展」でご一緒したオーライタローさん、岡本雄司さんもそれぞれ形は違うが、本の形にした作品があり、とても参考にさせて頂いたと同時に、やはり冊子や自家製本の形に対する想いのようなものも多少なりと感じた。やっぱり好いなあ、ページを捲ると画が展開する、っていうのは。(続く)
*今回の画像は、数年前に、本の見返し(表紙の裏側)部分にこんな幾何学模様を使ってみたいと描いてみたもの。そんな贅沢なことは、実際にはおそらく無理だと思いますが。。。)
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展示が終わってあっという間に一週間。ちょっと解放された気分と、もう次に描く画のことで本当は頭の中は一杯なのだ。(ですが今回も画像は写真で失礼します)
ここ数年ずっと考えていたのが、小さな画の本を創るということ、そしてそのための画を描くということだった。それでF0(18×14cm)というサイズの小さな画を描きためていた。昨年のNomadの展示ではその画を出展し、だいぶ売れて数はなくなってしまった。だが、本にするためにはまだまだ練り上げ方が足りない段階だったし、カフェに来る人たちの好みや感想なども、その後とても参考になったのだった。だからまた1から描き始める気持ちでいるのだが、そのスタイルにもコダワリがあって、なのにこれという構想が今一できあがらず、その間ばたばたと色々なことがあって、延び延びになってしまっていた。
それが皮肉なことに、つい先頃、前回も書いた近所の大好きだった赤錆の家(画像)が解体されてぽっかり更地になったのを見たとき、小さな燃えるようにあかい家を描いてみたくなり、と同時に頭の中にその画がはっきり浮かんだ。おかしなものである。そして同時に本のスタイルも、「こう」というものが漸く見えてきたのだった。(続く)

展示では皆様ありがとうございました。
いずれまた今回の展示の後のことを書きたいと思っています。
今回は地元のこと。
私の家の近所で、つい先頃、とても愛着があった建物が、つづけて幾つもなくなっていきました。その中のひとつに、古い住居表示プレートを付けていた家がありました。
私の家は文京区と台東区の境目にあり、そのすぐ近所の家は台東区側だったのですが、かつては「下谷区」と言われた地域でした。もうこの呼称もほとんど見ることも聞くこともなくなっていましたが、この家だけはずっとこの旧い町名を冠した門柱があったのです。
それがいきなり、白いシートに覆われてしまいました。
現場の方に思い切ってこのプレートを引き取らせて貰えないかと頼んだところ、「いいっすよ~」。あっさり許可を貰えました。それがこの画像のもの。ホーロー製です。文字もなかなか味わいのあるものです。
もうひとつ大好きだった近所の赤錆トタンの家も、同時期に解体されました。そして、解体こそしていませんが、根津の宮の湯さんも夏前に廃業してしまったのです。こちらはまだ建物はそのままで、この先一体どうなるのか、詳細はわからないのです。
少しずつ、この下町路地もまた変わりつつあります。
でもやっぱりこの町を愛しているワタシは、どういうふうになっていくのかも、ずっと見届けて行きたいと思っているのです。


ギャラリーツープラスにて「タテモノのカタチ展」、無事終了いたしました。
おいで下さった沢山の皆様、
本当にありがとうございました。
私にとって、想い出深い、意味のある展覧になりました。
そして何より、とても気持ちのよい展示でした。
企画して下さった2+さん、参加作家のお三方にに心より感謝です。
関連記事を戴いたサイト(10/15~)
*昭和のレトロ食堂
*鉄の華 裏道遍路人
*Across the Street Sounds
*Blog版環境社会学/地域社会論 琵琶湖発
*ブリキの箱
*漂白のブロガー2
告知記事を戴いたサイト
*音の台所
*東京浪漫劇場
*kaoru photo...2
*新譜購入記
*satoboの写真日記
皆様ありがとうございます。

昨夜、展示の搬入も無事終了致しました。
搬入日というのは、ワタシはどうもいつもそわそわ落ち着きません。
それに今回は初めてお目にかかる方もいるので、新参者としてはドキドキものです。。。
しかし蓋をあければ、皆さんとても素敵な方々で、オーライタローさんつながりで2+さんが企画して下さった今回の展示は、和気藹々とした雰囲気の中、居心地のよい空間があっという間に出来上がりました。
だいたい準備が済んだところで、ささやかに缶ビールで乾杯。タテモノ、町談義に花が咲いたのでした。
画はそれぞれ四様の特色もあり、6日間じっくり拝見して沢山のことを吸収できそうなお三方の素晴らしい作品です。自分の作品も、客観できる大事な時間。展示後の画の取り組み方を練るための、貴重な時間ともなることでしょう。
画像は出品作品より、「川縁町工場」F6。三田の古川沿いのバラックです。
*大倉ひとみ在廊予定
10/15(月)13:00~19:00
/16(火)~/19(金)12:00~15:00くらい
/20(土)13:00~17:00(17:00終了)
多少の変更はご容赦下さい。
画廊はケイタイの電波は入りづらくなっています。当日午後のお問い合わせは
ギャラリーツープラス 03-3538-3322まで。皆様のおいでをお待ちしております。
*建築家秋山東一さんのブログ「Aki’s STOCKTAKING」
にて告知エントリーいただきました。ありがとうございます。

タテモノのカタチ展、来週月曜日15日より。
皆様のご来場お待ちしております。
毎度展示の折に最後まで決まらないのがタイトル。
気の利いたのを付けたいと思っても、最後はシンプルな方がいいやと言う感じで落着します。今回もようよう付けました。
「夢幻譚」「錆色トタンの家」「川縁(かわべり)町工場」「Neontica」の4点です。・・・あんまり捻りがないですね。
そして、サイン。これが苦手なのです。。。
いっそないほうが、と書かなかったときもあるのですが、作品を買って下さった方に「サインがないですねえ、書いて下さい」と言われてしまったことがあり、やはり買う方にとってはあったほうがいいのかな~(別に価値がそれで上がるとは思えないのだけれど・・・)と、一応書くことにしていました。でも、なんとなく気恥ずかしいのです、サインというもの。。。今までは筆記体のH(ひとみ、のイニシャル)一文字を書いただけの簡単なもの。それに制作年号を入れていました。
昨年あたりからこのサインがどうも画に合わない気がして、変えたいと思いながら、なかなか好いデザインも思い浮かばなかったのですが、今回の展示からはどうしても変えようと、ない頭をひねり、ようやくこのようなミミズの這ったようなものに落ち着きました。賛否両論ありそうですが、当分はこれで行く予定です。
まあ、どーでもいいことなのかもしれませんが、変なコダワリのあるヤツだと思って見て下さいませ。
<タテモノのカタチ展>
大倉ひとみ在廊日(予定)
15日(月)13:00~19:00
16日(火)~19日(金) 12:00~15:00くらい
20日(土)13:00~17:00(17:00終了)
多少の変更はご容赦下さいませ。
尚、画廊はケイタイの電波は入りにくくなっています。
当日午後のお問い合わせは、画廊 ギャラリーツープラス03-3538-3322 までお願いします。
メールでの大倉へのお問い合わせについて
PCメールは朝夜必ずチェック致しますので、どうぞお送り下さい。
メールは拙HPのメールフォームもご利用下さい。
DM、下記の店舗にも置いていただきました。
ありがとうございます。
オヨヨ書林(古本)
Ponia-pon(アンティーク着物)

今回は画のアップはお休みして、ちょっと違う話題です。
でも、昔から大好きだったちりめんの布について。
半襟を縫いつけるために、久しぶりに出したちりめんの長襦袢。以前骨董屋さんで手に入れたもので、おそらく昭和初期頃の、戦前のものです。若い頃からちりめんの布地は大好きで、少しだけはぎれ集めもしていたのですが、この襦袢も着るというより布模様の美しさに惹かれてしまったものです。だいぶ傷んだ箇所もあり、布地が薄くなっていたりしますが、色合いの見事さは御覧のとおり。これを見ているだけでもうっとり時間が過ぎてしまいます。
傷んだ箇所は、誰がしたのかあて布(それもまた綺麗なちりめんはぎれ)をして繕ってあるのです。お店のひとがしたのか元の持ち主がしたのかさだかではないのですが、ちくちく刺した手縫いの針目は、なんともあたたかくて、布のやわらかさとともに、年月を経たものの優しさまで感じさせてくれます。
昨年の秋に出た「銀花」147号に、こうした昔のはぎれを接いでつくった長襦袢や産着などの名もない作品が沢山出ていますが、本当にどれもうつくしく、大切に繕いながらそれらを受け継いでいったことが偲ばれます。
私の幼い頃は祖母も木綿の着物を着ていたし、今のように「着物」が必ずしも高級品ではなく、まだ辛うじて身近にあったのだと思います。そして洋服でも靴下でも、穴があいたら繕ってまた着ることもずっと多かったような気がします。私自身、裁縫上手でもありませんが、靴下やズボンの膝などの繕い物はよくやっていました。たぶんあの、単純なちくちく縫いが好きなのですね。
で、この美しい柄の古い襦袢も、色々チェックして細い絹糸で繕ってやる時間は、何だか気持ちがやさしくなるようで、今に、画の合間に老眼鏡でちくちくやっているおばあちゃんになるのも好いなあなどと本当に思ってしまうのです。
画の展示のお知らせは、こちら。もう来週です!

展示が近づいてきたこともあり、ブログのほうはちょっと間隔があくかもしれませんが、ぼちぼちと更新していきますのでよろしくお願いします。
今日は久しぶりの線画(というよりもう、ほとんど覚え描きに近い)。
南千住のオンボロハウス。でもこれが可愛いのです。
色を付けていないのでナンですが、向かって右半分がきれいなブルートタン。左側はベージュのモルタルで、味のある染みも出てます。まあありきたりの普通の造りですが、真ん中のエビ茶の樋もアクセントになって、やっぱりワタシは立ち止まってしまうのです。
10/3追記*
谷根千地区の下記のお店に、「タテモノのカタチ」展DMを置いて戴きました。ありがとうございます。
*往来堂書店
*nido(ステンドガラス工房+shop)
*Cafe NOMAD
*プフレーゲライヒト(道具・雑貨)
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