
穏やかな年明けとなりました。
皆様にとって良き一年となりますようお祈り申し上げます。
また、今後とも拙ブログをどうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、新年初の画、新作アップです。
昨年の季節の好いときに、麻布の笄(こうがい)町を訪ねました。麻布というイメージからかけ離れた、古い家屋が建て込んだ一角があり、細い路地の先にこんな風景に出くわしたのです。
何軒かの長屋がぐるっと囲んだなかに、狭いながらも物干しのある小庭のような空間がぽっかりとあり、穏やかに日が当たっていました。洗濯物がひらひらとそよいで、それは閑かで眩しいような空間でした。
太宰治の「津軽」という小説に、私(太宰)が育ての親のような乳母、たけに会いに行くシーンがあります。それは津軽の小さな町でちょうど町内運動会のような催しがあった日で、とても好い場面なのですが、一方で日本が戦争に突入してゆく時期で、そんなさなかに日本の片田舎のこの町では、そんなことも無関係のように華やかな素朴な行事が行われている・・・と、太宰がふと白昼夢のような想いにかられるのです。
笄町で出会ったこの風景に、私もふとそのシーンを想い出したのです。
そして、大袈裟ではあるけれど、人の世の幸福の姿とは、こんなものではないかとも思えるのです。市井の人びとの小さな平和。それがどこの国どこの町でも守られる一年であるようにと思うのです。
スポンサーサイト
| HOME |