
うらうらと陽の照り返す季節になると、浮き立つ気持ちと裏腹に翳りの濃い裏町に潜んで行きたい気持ちにもなるのは何故だろう。
すっかり忘れていた詩人の言葉が断片的に想い出されると、あかるくつるつるした、だが何処かそらごとのような街にはくるりと背を向けて、時代錯誤のようななつかしい細道の奥の、しっとり湿った翳りの中に身を置きたい気持ちに駆られる。
葉桜の透明感あふれる緑、それらを愛しながらもその無傷のさまに痛々しさを感ずるのだ。
・・・こんなふうに書くと、何だか精神を病んでいるように見えるだろうか?
しかし裏町の散歩者なら、どこかに僅かでも潜んでいる想いではなかろうか?
・・・まあ他人の事は解らないが、
少なくとも私は多分、やっぱりずっとそういうものを意識し続けるだろう。
そしていつか、私というかたちもなくなって、しっとり湿ったあの翳りの中に帰っていくのかもしれないと思う。
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