
葭(よしず)売りというのは今でもあるのだろうか。
私の幼い頃は、車ではあったけれど「よしず~」の売り声とともに町内にやって来たものだった。
この頃ではすっかり少なくなったが、たまに掛かっている家を見かけると、何とも好い風情だと思ってしまう。
京都や金沢の花街に行けば、これがずらっと並んだ風景を見ることができるけれど、都内ではなかなかそこまでの景色にはお目にかかれない。
今日描いた家は、台東区の鳥越あたりで出会った路地裏のひっそりした一軒。
窓と出入り口にかかっていて、そしてそこを楓の若葉がちょうど覆って、枯淡な感じがあった。
陽当たりは余り良くない、うらぶれたところであるけれど、木綿の着物を着たおばあちゃんが出てきそうな、ささやかな生活の匂いのする一角だった。
スポンサーサイト
| HOME |