

只今 ちょっと不馴れな?イラストの仕事をしておりまして、拙画のほうはお休み。良い機会なので、一度書きたかった、大好きな画家 小村雪岱(こむら せったい、1887-1940)について。。。
雪岱は、下村観山、松岡映丘など日本画の巨匠に師事した後、主に装幀・挿画の分野で足跡を残したと言える画家で、私は偶然大学生の頃、青山のハナエモリビルB1にあった骨董屋で、彼の肉筆画を観て以来、すっかり虜になってしまったのであった。
極細い筆書きの線のみずみずしさといったらない。そしてあえかな中にも何処か芯のつよさの見える江戸の女を描いたら、敵う者なしといった感じ。そして特に新聞小説の挿絵にみる黒白の配分の感覚の斬新でモダンなこと。密かに「日本のビアズリー」と呼びたいくらいである。(写真上左は、1987年リッカー美術館での展示図録。下は新聞小説「おせん」の挿絵コピー、昭和8年)

泉鏡花に気に入られ、装幀を任された本は余りにも美しく(写真一番上右、鏡花本見返し)、本当は欲しくて仕方ないが、古本屋でもとても買える値段ではない。私が学生だった当時は作品集も新しい版のものがなく、また特に好きな新聞小説の挿絵は観る機会もない。そこでまだ閑があった学生時代、それなら原本である新聞をみれば好いのだと思い、大学の図書館に所蔵のある読売新聞の昭和9年~10年にかけてを、マイクロフィルムで見せて貰うことにしたのである。

非常な時間をかけてマイクロフィルムをまわしながら、特に気に入った挿絵のコピーをとっていった。今でも大事にファイルしてあるのだが、それだけでは飽きたらず、それをもとにして年賀状のデザインなんかにもしてみていたのであった。(プリントごっこ使用。文字は絵双紙か何かの文字を組み合わせて描いたと思う。-あけましておめでとうござんす 本ねんもよろしく-)

また、当時属していた美術部の部誌に、こんな記事まで書いていた(笑)。まだとってある。。。

雪岱は画家であるが同時に非常にデザイン感覚にも優れていた人であったと思う。現代ではなかなかこういう画を描ける人がいない気がする。埼玉県立美術館では所蔵の作品なども時々展示されるので、是非機会があったら御覧下さい。
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