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N的画譚

N町在住、陋巷の名も無き建築物を描くneonによる、日日の作画帖です。
暢気な平屋
ノンキ平屋331









折々拝見させて頂いている女性建築家、大内山さんのブログ「大内山雑記帳」に「防犯」というエントリーが出されていて、何だか考えさせるものがあった。というのは、この十年で住宅設計に於ける施主の防犯の意識が、嘗てとは全く様変わりしてきた・・・という内容であったから。
そうなのだなぁ。私が下町や陋巷を歩き始めた昭和の末頃は、それでもまだまだ路地に入ればあけっぴろげな生活が溢れていた。佃に行ったときなど、初夏のせいでどの家も玄関開けっ放し、座敷でごろ寝のオジサンやテレビの音、コドモの遊び声もこぼれ出ていたのだった。

だがもうそれは刻々加速度的に無くなっていっている。
過剰なほどの警戒を、否応なく強いられる場面が日々多くなっている。
町歩きをしていると、不審な目を向けられるというのもよく聞く話だ。

尾久を歩いていて、こんな平屋があった。
無防備で、狭くて小さくて古いけれど、平屋はいつも私に、失くしてしまった色々なものを思い起こさせる。長閑で暢気なあけっぴろげなあの時代は、もう二度と戻ってはこないのだろうか。
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