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N的画譚

N町在住、陋巷の名も無き建築物を描くneonによる、日日の作画帖です。
鬼が笑う











来年のことを言うと、鬼が笑いそうですが
(あ、そうでもない時期に来ているか?)
来年は少し、旧遊廓の建物に取材した画を多く描いてみようかと思っています。
まあそう言うのも、こういう場で言っておかないと
いつの間にか自分の中でだけで、消滅してしまうこともあり得ますから。
(言っておいて実現しないこともありますけど)
できればそれで発表の場ができれば、尚好し。
前半はnidoの展示があるので、後半にでも。


あ、今回は本文と画は
何の関係もアリマセン。
過去の変な試作品です。
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あかい鳥 ことり なぜなぜ・・・



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アンティークの帯のなかで、ワタシがめっぽうヨワイのが鳥のいるデザインの帯。
つぶらなまるい瞳、ちっちゃなアタマ、長い尾っぽにとりどりの羽。

大正昭和の帯には、何故か鳥の柄がよくある。
そういえば昔の童謡も、小鳥の歌は色々ある。歌を忘れたカナリヤ、あかい鳥ことり、ななつの子。。。どの唄もちょっぴりものがなしくて、なつかしくて、やさしい。そんなあまずっぱい幼い頃の記憶が何処かによみがえるせいだろうか、こんな小鳥たちに出会うと、たまらなくて抱きしめたくなってしまう。

着物の柄にも鳥のものはあるけれど、ワタシは帯のお太鼓部分に、ちょうどちょこんと登場するような鳥たちが好きだ。うまくその部分を出して締められた時は、それだけでウレシイ。

この3つの帯は、手元にやってきた経緯も場所もそれぞれ違うのだが、どの小鳥たちも遠い夢の世界のなかから、ワタシに囀りかけているかのようなのだ。

外階段の建物
外階段の建物363











ありふれた、何処にでもある、外階段のついたアパートや家屋。
古びて廃れて、危なっかしい階段は、もう使われなくなって、要らないものや枯れそうな植木鉢などが並んでいたりすることもある。

それでもこんな建物に目が留まってしまうのだ。

廃屋らしき匂いも芬々と漂って来るが、こんな建物にもそれなりにあったであろう来歴をちらと思う。
錆びた階段を見上げると、狭いが先端は遠い冬の空に通じているかのようで。。。
モダンなるもの
電灯ハウス360









先の世界堂の絵画大賞展で、知らない方(年配の男性の方)が拙画を見て「これはモダンだな」と連れの人(若い男性)に話しかけておられた。・・・勿論作者が後ろに居ることは全くご存じなく。
そしてワタシはちょっとうれしかった。

「モダン」の定義は何だろう。
はっきりこうと言えない漠然とした意味合いがあるが、その言葉の持つ印象、雰囲気といったものが好きだ。だから「モダンだ」と言われるとちょっぴりウレシイのである。

modernを文字通り言えば「現代的」とも言えるが、日本語になっている「モダン」には、大正昭和初期のモダニズムの色合いが濃いように思う。現代建築を指して「モダン」とはあまり言わない(のではないかと思う)が、大正昭和初期の洒落た洋風建築などには「モダン」という言葉を使うことが度々ある様な気がする。

ムリをしてこじつけてみれば、ワタシの画が志向しているのは「少々モダンな印象に描いた、名も無き巷の建物の画」とも言えるかもしれない。この言葉の持つ軽やかで、自在で、遊びのある、・・・しかしその遊びにとことん心血注いでしまう、ほとんど滑稽にも見えるまでの心の余裕・・・ああそんな「モダン」に心から憧れてやまないのである。
neon文字~その2
neon文字-2356









今回は文字というより、ネオンそのものですかね。

昭和の初期頃実際にあったカフェーのネオンをもとに描いたもの。
現在でも繁華街にはネオンの装飾は沢山ありますが、省エネの影響でいっときよりは数が減ったようです。
昭和初期は、モノクロ写真でしかほとんど見たことがありませんが、銀座などのネオンはかなり華やかで、往時の夜を照らして止まなかったものと思われます。

現代の繁華街は照明の明るさよりも、おそらく音響の騒がしさが気になります。
パチンコ店はじめ、ファッション関連、CDショップなど必要以上の音量で、私などはもう1分と耐えられない。それに比べたらおそらく、昭和の初め頃の街は静かなものだったのでは。

ネオンの灯りは、ちょっと離れたところから見るのが美しい、
やや遠目にチカチカしているのを見るのが好きです。

街灯りというのは、都会生まれの私にとっては、やっぱりなつかしくて心誘われるものなのです。
 (・・・街のあかりがとてもきれいねヨコハマ~♪という訳でして。。。)
neon文字~その1
neon文字-1355









嘗て、黒い紙にネオン管のような光る線で画を描いたり文字を描いてみたり、飽きずにやっていた時期がある。もう10年も以前のことだ。しかし今でも暗闇に光る、あの透き通る色彩への憧れは止んでいない。

その当時売っていた黒い紙ばかりのスケッチブックに描きためていたものの中から、少しばかり幾回かに分けてアップしてみる。

今回のは曲線を入れてデザインしたもの。店の看板や町の入り口のゲートなどになるか?

どういう描き方をしているかと言えば、水彩と同じふうにチューブに入っている胡粉を濃いめに溶き、細い面相筆で白い文字を描き、その上または周囲に色鉛筆で色を乗せたりぼかしたりしている。当時色々試行錯誤していたなぁ。その後或る本の中に色つきの地図を何十枚も描く仕事に、これを活かすことができたのは幸いであった。。。
路地のある呑み屋街
路地のある飲屋街354










ここのところ急に冷えるようになって、季節の移るのが肌で感じられる。
路地にぽっと点くあかりが、何だか恋しいような。

秋口に川崎の裏町を歩いたとき、こんなふうに小さな路地の両側にごちゃごちゃとスナックや居酒屋がかかたまっている処があった。小さいけれどアーケードまで付いている。この日は祝日の昼間だったからお店は閑散として暗く、シャッターもぴちりと閉まっていたが、平日の宵くちは、常連さんがちらほらと引き込まれるようにやってくるのだろうなと思わせる。看板など新しくなっている箇所も多いが、何となくやっぱり昭和の雰囲気だ。奥の方には「稲庭うどん」の大きな提灯も。
ちょっと温まるくらい、気持ちよく呑んだ後に、つるつるっと稲庭うどん。
そんなのも好かろうて。
雛の掛軸









世界堂の展示も無事終了致しました。お忙しい中おいで下さった皆様、本当にありがとうございました。

更新もサボっておりましたが、またいつものペースに戻ります。

とは言え今日は、作品としては随分昔のものですが、それが取り持ったちょっと不思議なご縁・・・について。

一対の雛人形を描いた掛け軸・・・これは私がかつて実家にいた娘時代に描き、母が軸装に出して床の間に飾っていたもの。母が亡くなってから私の手元にあったのですが、今の私の家は狭いマンションで床の間もなし、押入にお蔵入りになっていました。そこで、しまいっぱなしになるよりは、と以前櫛を買った近所の骨董屋さんに持って行って話をすると、気の良いご主人、早速季節でもないのにお店に飾ってくれたのです。まあもしかしたら、このあたりに来る外人の観光客が買っていくかもしれないねなどと言いながら。私もあまり本気にせず、また来ますと言ってだいぶ月日が経ってしまったのでした。

ひと月以上経ってしばらくぶりにお店に寄ったところ、掛け軸は見えなくなっており、あれ売れたのかしらと思って入ると、ご主人が言うことには、飾って3~4日して、まあ季節ではないので(夏だった)一回しまおうかとしていた時、ちょうど入ってこられたご夫婦がおり、そのご主人のほうが是非欲しいと仰有ったということ。そしてその方は豊橋の人形屋の方で、ご子息が芸大のピアノ科におられ、その演奏を聴きに上京した帰りだということ。とても穏やかな好い方で、描いた私に宛てて短いお手紙を頂いていると・・・。
見れば、この軸を気に入って下さり、是非お店に飾りたい、HPもあるので見て下さいとのこと。
いや吃驚しました。
HP(「人形処 たちばな」というお店)を見ると、品の良いしつらいのなかにお人形が並べられ、そのお顔も品のあるやさしいものばかり。
とても感じの好い、美しいサイトであります。

その後こちらからも御礼の手紙を書き、交信させていただき、11月にお店がリニューアルするとのことで、軸も飾りましたというメールと共に、この写真が送られて来たのでした。

可愛らしいお人形たちと共に、拙い私の軸が晴れがましそうに飾られて、画のなかの雛たちもうれしそう。こんなご縁もあるのですね。

そして後日談。若きピアニストのご子息が、先日の世界堂の展示にいらして下さり、お話しする機会に恵まれました。素敵な方でした。我が家は芸大には徒歩10分足らず。これまでもどこかですれ違っていたかもしれないのですが。。。
そして、新たにご自宅とお店に飾る画のご注文もいただき、お店のほうでは販売もしたいとのこと。
有り難いお話です。

そんなこんなで色々なことがありました。もとはと言えば、あの骨董屋さんがご縁。
骨董屋のご主人、人形処たちばなのご主人、ともに何とも温かいお人柄が印象的で、またどちらも職人気質な、創作に対する静かな熱意を持っている・・・そんな通じる何かがきっとあってのことだろうと思われるのです。


*11/2 追記:やまださんのブログ「谷根千ウロウロ」の過去記事に、この骨董屋さんのことがでていますので、リンクさせていただきます。→こちら
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