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N的画譚

N町在住、陋巷の名も無き建築物を描くneonによる、日日の作画帖です。
雛の掛軸









世界堂の展示も無事終了致しました。お忙しい中おいで下さった皆様、本当にありがとうございました。

更新もサボっておりましたが、またいつものペースに戻ります。

とは言え今日は、作品としては随分昔のものですが、それが取り持ったちょっと不思議なご縁・・・について。

一対の雛人形を描いた掛け軸・・・これは私がかつて実家にいた娘時代に描き、母が軸装に出して床の間に飾っていたもの。母が亡くなってから私の手元にあったのですが、今の私の家は狭いマンションで床の間もなし、押入にお蔵入りになっていました。そこで、しまいっぱなしになるよりは、と以前櫛を買った近所の骨董屋さんに持って行って話をすると、気の良いご主人、早速季節でもないのにお店に飾ってくれたのです。まあもしかしたら、このあたりに来る外人の観光客が買っていくかもしれないねなどと言いながら。私もあまり本気にせず、また来ますと言ってだいぶ月日が経ってしまったのでした。

ひと月以上経ってしばらくぶりにお店に寄ったところ、掛け軸は見えなくなっており、あれ売れたのかしらと思って入ると、ご主人が言うことには、飾って3~4日して、まあ季節ではないので(夏だった)一回しまおうかとしていた時、ちょうど入ってこられたご夫婦がおり、そのご主人のほうが是非欲しいと仰有ったということ。そしてその方は豊橋の人形屋の方で、ご子息が芸大のピアノ科におられ、その演奏を聴きに上京した帰りだということ。とても穏やかな好い方で、描いた私に宛てて短いお手紙を頂いていると・・・。
見れば、この軸を気に入って下さり、是非お店に飾りたい、HPもあるので見て下さいとのこと。
いや吃驚しました。
HP(「人形処 たちばな」というお店)を見ると、品の良いしつらいのなかにお人形が並べられ、そのお顔も品のあるやさしいものばかり。
とても感じの好い、美しいサイトであります。

その後こちらからも御礼の手紙を書き、交信させていただき、11月にお店がリニューアルするとのことで、軸も飾りましたというメールと共に、この写真が送られて来たのでした。

可愛らしいお人形たちと共に、拙い私の軸が晴れがましそうに飾られて、画のなかの雛たちもうれしそう。こんなご縁もあるのですね。

そして後日談。若きピアニストのご子息が、先日の世界堂の展示にいらして下さり、お話しする機会に恵まれました。素敵な方でした。我が家は芸大には徒歩10分足らず。これまでもどこかですれ違っていたかもしれないのですが。。。
そして、新たにご自宅とお店に飾る画のご注文もいただき、お店のほうでは販売もしたいとのこと。
有り難いお話です。

そんなこんなで色々なことがありました。もとはと言えば、あの骨董屋さんがご縁。
骨董屋のご主人、人形処たちばなのご主人、ともに何とも温かいお人柄が印象的で、またどちらも職人気質な、創作に対する静かな熱意を持っている・・・そんな通じる何かがきっとあってのことだろうと思われるのです。


*11/2 追記:やまださんのブログ「谷根千ウロウロ」の過去記事に、この骨董屋さんのことがでていますので、リンクさせていただきます。→こちら
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