
P15というサイズ(65.1×50.0cm)で久しぶりに描いている。
多分、秋の個展に出すとしたらその中では最も大きいサイズになるだろう。
作品は、今年の1月にこのブログに出したもの(「追憶の鳥」)を下敷きにしてみた。この鉛筆描きを描いた時から、これは少し大きめに延ばしてみたいかなと思っていたのだ。
色もほとんど抑えた、廃味(?)の強い、タッチの粗いものにしてみたいという、明確な欲求が当初からあった。だが何処かに繊細さも残しておきたいし、何より今回の個展では、何処か物語的な要素を醸し出す作品を並べてみたいのである。
珍しく形(構図)がハッキリ決まっていたので、描きだすと一気にここまで来た。
まあまだ手は入れるのだが、やっぱり構想をなるべく100%に近いところまで創り上げて描き始めることが、ワタシにとっては必要だなーと思う。のであった。
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・・・のだが、この画の全体画像を、そう言えばブログでは出していなかったなと想い出したのだった。
この画は2007年秋に「タテモノのカタチ」という展示に出品させて頂いたもの。
ブログでは部分的にしか画像を出さなかった。
見覚えのある方もいらっしゃるかと。。。
時たま、「手放したくない作品ってあるでしょう?」と訊かれることがあるが、ワタシのバアイそれは全く無いのですね。そんな境地に達するような画は未だ以て描いていない。自分だけが知っている「記念碑的作」というのはあるにはある(出来不出来は別として)。これも、もしかしたらその一つかもしれないが、今回想いだしたのは、単にどういう描き方をしたんだっけという気持ちから(既に忘れている)、もう一度画像を見たくなったという単純な理由だ。(現品は既に他家へお嫁に行っている)
ワタシにとって一番気に掛かるのは常に次作(新作)であるので、そのために過去の作品を引っ張り出して参照することはたまにあるのである。というのは、ワタシは描き方が一定ではなく、10年前に較べたら随分変わってきている。技術的に巧くなっているかはアヤシイし、体力的にもはっきり言って10年前よりずっと落ちている。勿論画の根本にある精神的な状況状態というものも随分違う気もする。過去作に浸る気持ちは無いが、以前より客観視することはまあできる気もする。
で、ああ彼処はこう描いたんだったな、あの部分はもうちょっと今ならこう描くか、などと思い、
う~んやっぱりまだまだアマイなぁと、結局そこに行くのだが、苦笑しながらまたヨッコラと新作に取り組む・・・のであった。

ちょっと体調がすぐれなかったりしたので、今日は画材の話でお茶を濁しておきます。
ワタシは画材に関しては全くコダワリ無く、現在主に使用しているアクリル絵具とパステルはメーカーもごちゃまぜ、色が好いと思ったら何でも使います。
ですが、画材屋へ行くとどうしても目に付いてしまうシリーズがあり、それがターナー社のアクリルガッシュの「和」カラーのシリーズ(ジャパネスクカラー)。他のメーカーのものは色名は全て横文字ですが、このシリーズだけ和名、それも何とも心憎い命名がしてあります。
中でもワタシが多用しているのが「赤墨」「消炭色」「紅梅色」「真朱」など。
「消炭色(けしずみいろ)」なんて、好いネーミングでありますねー。
日本画の岩絵の具名にもこれは無い(と思う)ですね。色はややくすんだ黒。ってわかりづらいですね。てかてかの黒ではなく、艶消しされたような濃い灰色とでも言いましょうか。とても好い色です。
「紅梅色」は平たく言えばピンクですが、これも微妙なくすみがあり、灰色を混ぜると陋巷によくある薄紅色っぽいトタンの色になるので、非常に多用。ただ、チューブに印刷されている色と実際とはちょおっと違うのが難点。画材屋さんでは「チューブの蓋は開けないで下さい」と時々張り紙してありますが、開けないとどうも色が確認できないのですね~。使い慣れた色はもういいのですが。
で、時々今でも新色が出ているのがまたスバラシイ。ターナー社の意欲に拍手。
最近の新色でワタシ的ヒットは「赤墨」。
これも非常に微妙な色ですが、ほんの少し茶系の黒。たしか画墨にこういう色があったなぁ。
黒に重ねても温かみのある暗さになるので気に入っています。
これからもネーミングと微妙な色合いで惚れさせるヒット作を是非、期待しておりますハイ。


本日5/20発売の雑誌 クウネル(マガジンハウス)にnidoの記事が5頁に渡って掲載されております。P111、<ガラスも陶器もやさしくくっつく>というタイトル。ハンダ付けの体験記ふうに書かれています。ちょうどこの取材が、拙展示「色硝子の町」の制作真っ最中の時期だったため、ワタシとのコラボ作品の一部(完成品はスナックダイヤのみ、あとはハンダ付け前の状態ですが・・・)もちっちゃく(笑)載せていただいてます。(上の大きな鳥の画は海外のもの。ワタシのは下の小さい写真。)でも名前もちゃんと入れて頂いていて感謝です。
右の画像は完成品の「たばこや市松」。
ショーウインドウの下の部分の市松模様のデザインから屋号を命名。これもワタシのデザインを見事に表現してくれたnido苦心の労作。
お陰様でとても人気で色々お問い合わせも頂きましたが、展示2日目にSOLD OUT。
他の頁もnidoの雰囲気がよく出ていますので、興味ある方は是非御覧下さいませ!

nidoコラボ「色硝子の町」ですが、有り難いことに終了後も何件もお問い合わせをいただいているため、nidoではもうしばらく残った作品を展示してあります。HPやブログで見て、駆けつけるように買いに来て下さる方も。ありがとうございます。
現在ある作品についてはnidoのほうにご確認いただければと思います。
画像は、一番人気だった「BARBERハイカラ」。SOLD OUT
それと、5/20付けで発売の「クウネル」(マガジンハウス)にnidoの記事が掲載され、コラボ作品もちょこっと登場する予定。よろしければ御覧下さい。

nidoの展示を終えて、翌日はやっぱり多少虚脱感があって、できれば何処か閑とした喫茶店ででも一日何も考えずぼーっとしていたい気もしたが、まあそうもいかず、家のコト、たまっていた雑事などをして、夕餉の買い物をしたら一日終わってしまった。
ワタシのバアイ、展示の前日からその期間中はかなり緊張感があり、朝は早よから目覚め、食事はパン系(パン好き)か野菜くらい。それでは持たないので、ドリンク系栄養剤を毎日注入(笑)。もうここ10年くらい、個展のときはそんななので、かえって馴れてきてドリンク類は早めに準備(笑)。
展示10日間は毎日会場に通った。nidoの場合は”隣町”なのでそう大変ではないのだが、逆に買い物をして帰れるので、荷物がどっさり多くなってしまう。
まあ毎日通わなくてもよいのだが、どうもワタシは気になる質なので、少しでも行ってお客さんの反応などを見たくなる。連休中は谷中が最も混む時で、人もかなり流れてくるから、DMを出して来て下さる以外のお客さんも多く、そういう人たちの反応を見られる機会というのは、やっぱり貴重なのだ。
団体にも属さず、現在は特に師も持たず、独りよがりでやってきている身としては、展示の場というのは、孤のなかで創り上げ表現したものを初めて人前に晒して見て頂くということだから、緊張もするし、しかしその分色々なことを吸収、覚醒できる凝縮された時間でもあるのだ。

10日間にわたっての展示「色硝子の町」、先程無事終了いたしました。
最終日の今日も、雨の中沢山の方においでいただき、本当にありがとうございました。
年明けから打ち合わせと準備、制作を重ねての展示の10日間は、あっという間でしたが、
とても充実した時間を過ごすことができました。そして、とても幸せな時間でした。
今回の作品の中の、商店シリーズ(?)は特に大変好評を頂き、nidoの渾身の制作魂に心からの敬意と感謝を表すると共に、忘れがたい珠玉の作品たちになったと思っています。nidoのみんな、ほんとに今回もありがとう!!
そしてこの工房の持つノスタルジックな雰囲気のなかでの展示は、作品を一層盛り立ててくれたと感じています。すぐそばの谷中銀座の喧噪を余所に、一歩此処に入ればそこは異空間。ほっとして、長居していかれるお客様も随分おられましたし、私にとっても或る意味此処は夢の空間です。・・・
・・・展示の期間中に、とある訃報があり、それはあの清志郎だったのですが、もうあの声をリアルに聴くことができないと思った瞬時、悲しみに襲われました。私が最も好きだった「Daydream believer」の清志郎の訳詩。・・・ずっと夢見させてくれてありがとう。・・・
多分私も何処かdaydream believerなところがあって、そしてnidoでの展示は何処かdaydreamなところがあって、こじつけではなく、nidoのかけてくれた彼のCDを聴きながら、色々な想いが重なりあったのでした。
与えられた時間はどれだけあるのかは誰にもわからないけれど、多分その時間の限り、ずっと夢を編み、見続けたいと思うだろうな、私も。
というワケで、(笑)
皆様ありがとう!
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