
今迄 実際に自分で見たことのない建物は、ほとんど作品にすることはなかった。
やはりこの眼で見てこそ、湧き上がる想いがあるからとずっと思ってきたし
今も思っている。
だが、過日にとある方の撮った写真を見せて頂いた時、
その町のあまりにもすがれたたたずまいに強く惹かれてしまった。
遠く離れた町であったがかなり本気で見に行くことを考えていた矢先、
3月11日が来た。
この町も被災した。
この辺りの建物がどうなっているのかはほとんど情報を持っていないが
おそらく今現在は嘗てと随分と異なった様相を呈しているであろう。
そして私は描くことにした。
震災があったからそのオマージュとして描きたいというのではなく、
ただただこの町の姿は、おそらく私の持っている心の風景の一部なのであった。
そう確信させるものがあった。
傷んで、廃れて美しさの欠片もないのだけれど、
焦がれる様に私の心に近かった。
許しを得て今回小さな作品とした。
ありがとうございます。
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大倉ひとみ個展 「幻燈街」
@銀座一丁目 ギャラリーツープラス
10月8日(土)~13日(木)
詳しくは→こちら
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