
来年の個展では、町工場やそれに類するものを描きたいと思っているのだが、過去に町歩きをして写した写真をピックアップしていったら、かなりの数になってちょっと自分でも驚いた。
しかし、やはり現場で得る感動をまだまだ欲するわけで、時間の余裕のある時は、なるべく出かけていって取材してきたいと思っている。
というわけで、雨の予報が外れた先日、大田区のMという地域を訪ねてみた。
ここは嘗ては鉱泉などがあり、ちょっとした保養地とそれに付随して色っぽい地域もあったそうだが、今は全くその名残はなく、寧ろ中小の町工場の集まっている町としての色あいが強い。
歩き始めて(いやバスの車窓から見えた風景がすでに・・・)すぐに自分の描きたい匂いを持っている町だと感じる。そして右へ行っても左へ行っても、現れる町工場の魅力的なこと。実用という名において出来上がっている建物の無駄のない簡潔な形、素材。そして、小ぶりで地味ながら確固とした存在感。これが、曇り日の空によく似合う。
金型を作る工場が多く、この町も不況の風に晒されて厳しいことこの上ない様子は、歩いていてもそのすがれた町の雰囲気からどうしても感じられるのであるが、機械よりも正確だという旋盤の技術を持つ職人たちも多く、日本の工業を地道に支えてきたこれらの町に、心からの敬意を捧げたくなる。
描いてみたラフ画は、煙突やダクトの形状が印象的な、とある塗装工場。
このままの形では制作しないと思うが、じっくり錬り上げて作品にしてみたいものだ。
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