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N的画譚

N町在住、陋巷の名も無き建築物を描くneonによる、日日の作画帖です。
光あるうちに











原 芳市(はら よしいち)さんの写真展「光あるうちに」@銀座ニコンサロンに伺って来た。

原さんとは、1999年にご著書の「ストリップのある街」(自由国民社)の時に、街の地図の画を何十枚も描かせて頂いてからの御縁である。

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この色地図の仕事は、今でもとても気に入っている楽しい仕事だった。

原さんはずっとストリッパーを撮っておられる方だが、第17回準太陽賞を受賞、2000年代に入って「現の闇」(@ニコン)「幻の刻」(ギャラリー蒼穹舎)「常世の虫」(@サードディストリクトギャラリー)など、心象を投影したような展示が続き、2010年から「光あるうちに」というタイトルのもと、幾つかのギャラリーでの企画展示をなさった。都内で催された展示はだいたい伺って拝見していたが、今回の銀座ニコンサロンでの展示は、その集大成とも言えるようなものかと思う。


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全70余点に及ぶ今回の展示の作品は、どれも声高なものではなくて、どちらか言えば地味ではあるけれど、どの作品にも「光りあるうちに(光の中を歩め)というフレーズが呪文のようにわが身をかすめていた」という言葉の通り、限りある生を意識しながらも、だからこその生の一瞬の輝きや翳りを掬い取っているようにも思われる。

原さんはとても優しい、情のふかい人で(と私には思われる)、いつも会えば微笑していて、私なんぞのことも励まして下さる。以前お住まいになっていたのが横浜の嘗てのわたしの実家にも近かった(偶然)こともあって、原さんの撮る横浜の写真は、私が喪ってしまった諸々を想起させる切なさもあるのだけれど、どの作品にもそれが今生の一枚となるかもしれない、そういう想いで一瞬にすべてを籠めてシャッターを切っている、そんな写真家の静かな覚悟が見え隠れする。


光あるうちに
原 芳市 写真展

銀座ニコンサロン
2012.2.15~2.28 10:30~18:30(最終日~15:00)



*「現の闇」「光あるうちに」写真集も
会場で販売しています。是非に。


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