
昨年下半期からずっと、町工場を訪ねることを繰り返しているが、9割方は都内の工場で、
それも自宅からはそんなに遠くない所だ。東京にこんなに沢山の工場があることに
驚かされもする。そして、色々な意味で胸を衝くような光景にも出会う。
普段の生活では想像だにしない、たとえば
ある製品がどうやって作られて今手元にあるのか、またどう加工されたり
廃棄されたり処理されているのか、そんなことは考えもせずに当たり前のように々の生活を送っているのだが、
町工場を巡っていると意外と身近な土地で、様々なものが生産されたり消滅したりしているということに、
いきなり気付かされる。
今描こうといしている町工場群は、家から30分程度のところにあるが、
外界との隔離感を匂わせる雰囲気があり、この地区に追いやられた理由も宜える工場たちだ。
都市の暗部とも言える一帯。
だが、近隣のやや高い建物から見おろすと、トタン屋根の累々とつづく眺めは
決して暗さだけでは片付かないような色合いとリズムに彩られて
わけもなく心惹かれる光景であった。
こうした光景を画として仕上げるときには、闇の部分は一旦心のなかに閉ざしておく。
やはり私は、作品としては闇を全面に出すよりももっと
これらの建物たちが奏でている音楽のようなものを引き出したいのだ。
あくまで暗い部分は自分の何処かに踏まえながら。
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