
中世の歌人藤原定家(1162-1241)の有名な和歌に、
見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮れ
というのがある。(新古今集 秋上)
「うらのとまや」というのは、「海沿いの粗末な小屋」とでも言おうか。定家という歌人は、「見渡せば花も紅葉も」と、まず平安朝以来の美意識の象徴でもあるものを詠みいだしながら、次に「なかりけり」とそれらの存在を否定してしまう。眼前にあるのは本当は「浦の苫屋」という寂しい、何の華もない風景だ。だが、この歌を読む者は、イメージの中にまず「花、紅葉」を思い浮かべる。そしてそれは不意に否定される。しかしまだ花と紅葉のイメージの残像があることろに、「浦の苫屋」が重なる。そう言う意味では、定家はかなりのテクニシャンなのである。こういう手法をかなり駆使して歌を詠んでいる。そして、「浦の苫屋」に見られるような<冷え寂びた>情景を歌の中心に据えるというのは、当時としてはかなり常識の枠を打ち破るものであった筈である。
≪この記事へのコメント≫
>いえいえお恥ずかしい。
読んで下さってありがとうございます~。勉強頑張って下さいね~。
読んで下さってありがとうございます~。勉強頑張って下さいね~。
国語の勉強になりました。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
2008/11/04(火) 00:43:06 | URL | 中学校3年生 #p8QD9nJM[ 編集]
>ですか~?いや、廃墟徒然草さま、それにしては深いでございますよ。少しずつ拝見しておりますが、いやはや「おおっ」というものが多くて。。。
拙blogはタイトル通り思いついた事をアップしてるだけですが、こちらこそよろしくお願いします。
>どうもお越し頂きありがとうございます。
TBもありがとうございました、拝見致しました。なるほど定家で繋がりましたね。
私も貴ブログはまだまだ拝見しきれていませんが、ゆっくりじっくり見させて頂きます。
ひとつのテーマで深く掘り下げていく姿勢に、とても感じ入るものがありました。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
TBもありがとうございました、拝見致しました。なるほど定家で繋がりましたね。
私も貴ブログはまだまだ拝見しきれていませんが、ゆっくりじっくり見させて頂きます。
ひとつのテーマで深く掘り下げていく姿勢に、とても感じ入るものがありました。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
拙blogにコメントを頂いたので、やってきました。
まだ全部拝見していませんが、
とてもグッとくる絵に感激しています。
読み進んでいると定家のことがあったので、コメントさせていただきました。
短歌のことは全然知りませんが、この歌だけは特別で、廃墟を見る時にいつも思い出す歌です。
拙blogの記事でも以前に取り上げたので、TBもさせて頂きました。
コメントだと長くなってしまうので、そちらをご覧になって頂ければと思います。
まだ全部拝見していませんが、
とてもグッとくる絵に感激しています。
読み進んでいると定家のことがあったので、コメントさせていただきました。
短歌のことは全然知りませんが、この歌だけは特別で、廃墟を見る時にいつも思い出す歌です。
拙blogの記事でも以前に取り上げたので、TBもさせて頂きました。
コメントだと長くなってしまうので、そちらをご覧になって頂ければと思います。
>cenさん
いやいや私は深いと見ましたよ~。(奥様の落とし穴も深い?)
いやいや私は深いと見ましたよ~。(奥様の落とし穴も深い?)
恐るべしでも深くもありませんよ~(^^;
そのときそのとき気になることがあり、年月が過ぎ、積み重なって、今があるのですが、これからもあるので、ただそれだけですよ~!素敵な絵、どんどん見せてくださ~い!
そのときそのとき気になることがあり、年月が過ぎ、積み重なって、今があるのですが、これからもあるので、ただそれだけですよ~!素敵な絵、どんどん見せてくださ~い!
>cenさん
どうも拙ブログにおいで頂きありがとうございます!奥様とも、お目にかかっていないのにすっかり同志のようなノリになって?おります。(勝手に)。
cenさんこの歌がテーマとは、さすがです!仰有るように、人間の価値観みたいなものにも触れていきそうな読みもできますよね。LGさん恐るべし。ただのガーデナーご夫妻ではない!深いぞ~。
どうも拙ブログにおいで頂きありがとうございます!奥様とも、お目にかかっていないのにすっかり同志のようなノリになって?おります。(勝手に)。
cenさんこの歌がテーマとは、さすがです!仰有るように、人間の価値観みたいなものにも触れていきそうな読みもできますよね。LGさん恐るべし。ただのガーデナーご夫妻ではない!深いぞ~。
こんいちは、neonさん。
すてきな作品やその思考および試行、大好きです。
この短歌、数年前に僕の所にもやってきて、その年のテーマにしたくらい、“これだよな!”と惚れ込んでいます。立派な建造物も豪華な庭も関係ありません、当時、幸せって何かを考えさせて頂きました。この度また、この機会を与えていただき、neonさんに感謝です。
すてきな作品やその思考および試行、大好きです。
この短歌、数年前に僕の所にもやってきて、その年のテーマにしたくらい、“これだよな!”と惚れ込んでいます。立派な建造物も豪華な庭も関係ありません、当時、幸せって何かを考えさせて頂きました。この度また、この機会を与えていただき、neonさんに感謝です。
そうですね、咀嚼という言葉があてはまるかもしれませんね。でも、咀嚼しきれていませんね。。舟のかたちとか、苦心のあとが見え見えで、ちょっと恥ずかしいのですが、全体を少し斜めに傾いで見せ、Z形の構図で少し不安定な感じをだしています。平面だけの構成に、どうしてもシャープな線を入れたくなるのですが、アンテナや電線はそのためにはなくてはならない要素になっていますね。
「錆朱の町」より構造物を一つの建築としてではなく、其処に存在する塊をイメージとして内部で咀嚼して捉えていかれた様です
手前の船も(べか船のようにも見えてくる・・・失礼)2.5D化しかかってますね
平面多面体と棒状(電柱・アンテナ)の組み合わせはここら辺から出発している訳ですね
偉そうに言って済みませんが、なんとはなくの不安定感と寂びに惹かれます
手前の船も(べか船のようにも見えてくる・・・失礼)2.5D化しかかってますね
平面多面体と棒状(電柱・アンテナ)の組み合わせはここら辺から出発している訳ですね
偉そうに言って済みませんが、なんとはなくの不安定感と寂びに惹かれます
>わきたさん
コメントありがとうございます。定家は実に引き算が上手いです。何を省くかということが分かっている天才ですね~。でも、当時はすぐには受け入れられず、「わけわからん新しがりだ」と言われたようです。わきた先生の引き算はどういうところなのか?興味があります。
コメントありがとうございます。定家は実に引き算が上手いです。何を省くかということが分かっている天才ですね~。でも、当時はすぐには受け入れられず、「わけわからん新しがりだ」と言われたようです。わきた先生の引き算はどういうところなのか?興味があります。
歌論については何もわかりませんが、定家の「なかりけり」というのは…。やっぱり「引き算」系ですね。「引き算」するのにも、いろんなベクトル(方向)があるのでしょうが。自分のやっている仕事に重ねて「引き算」ということを考えてみているところです。
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軍艦島の中でもよく知られた場所や有名なエピソードの数々は、軍艦島関係の老舗サイトさんを初め、私たちオープロジェクトや端島出身の方のサイトもで、沢山アップされているので、このブログでは、あまり知られていない所を取り上げていきたいと思います。かつて明治年間に
2006/09/14(木) 21:34:01 | 廃墟徒然草 -Sweet Melancholly-
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