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N的画譚

N町在住、陋巷の名も無き建築物を描くneonによる、日日の作画帖です。
なきがら と たましい


日頃、なくなってゆく旧い建物たちを巡り歩いていると、何だかそれらに挽歌をささげているような気持にもなる。
建物を新しく造るときは、地鎮祭やら何やらがあるけれど、解体時には何もない。いとも呆気なく、あとかたもなくなってしまい、こちらがまるで幻を見ていたかのような感じさえする。

12年前の今日、震災でたくさんのひとのいのちが途切れた。その人びとのなきがらは葬られて既に形はないが、そのたましいはきっと何処かで誰かの心に受け継がれているのではなかろうか。

なくなってしまった町や建物にたましいがあるかと言えば、ないだろうと一笑に付されるのかもしれないが、それらの記憶を誰かが持ち続ける限り、何かが残ると思われてならない。リアルタイムで知らなくても、たとえ一葉の写真でも、それに何かを感ずることがあるならば。



[冬の町] 2004 F6
麻紙ボードに、ジェッソ、パステル、アクリルガッシュ、鉛筆
Comment
≪この記事へのコメント≫
それが貴重です
>マフィンマンさん
ウチの周りでも、次々建物が解体されていきます。そして人びとの記憶も曖昧になっていきます。
そんななかで、やはり写真の持つ力は大きいですよ。そして大変貴重なものだと思います。マフィンマンさんの写真もまさにそうだと思います。
画の場合はある意味自在ですから、そこに自分の想いを色々盛り込めますけど、あくまで創作ですから。
2007/02/03(土) 12:53:21 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
生前の写真
家々の魂がフワッと宙に浮いているようです。ちょっと哀しげだけど、楽しそうでもあります。
幻を見ていたかのような……確かにそうですね。心の片隅にほんの小さく記録されただけの他人の家でも、いつの間にか取り壊されてサラ地になっているのを見るにつけ、「あの風景は一体……」と思ったりします。
せめて自分に出来るのは、魂になり果てる前の“生前”の写真を撮ることだけです。
2007/02/02(金) 22:23:16 | URL | マフィンマン #SFo5/nok[ 編集]
m-louis様
>そうですか、なるほど地鎮祭はそういう意味合いもあるのかもしれませんね。
でも、あっけなく毀されていく多くの建物を見ると、なんだかやりきれなくて、もう少し丁寧な葬り方はないのかなあなどど思ってしまうのですよ。儀式という形ではなくてもいいから、何か感謝のような気持ちで見送るような。。。
2007/01/26(金) 17:20:00 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
かくさん様
>そうですか、仙台も。。。一度行ったことがありますが、東口というのはあの、路地裏のような不思議な商店街があったところでしょうか?もしそこが取り壊されたとしたら、とても悲しい気がします。
仙台は緑も多いしとても綺麗ですが、東京のようなファッションビルやマンションも随分多いですよね。どんどんそんなふうになっていくとしたら、やはり味気ないですね。そしてできあがる明るくきらきらした町に立ったら、何だか居場所を失ったような気持ちになるだろうな。。。
2007/01/26(金) 17:12:26 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
地鎮祭
地鎮祭というのを簡易ながらも一回体験して思ったのですが、地鎮祭とは文字通り「地」を「鎮」める儀式で、ある意味でそれは前に建っていた建物(何代にもわたる)が地面に残した魂を鎮めるような儀式のようにも思えました。
ですので、解体のときにはちはるさんも書かれてるような相当な建物じゃないと儀式はないのかもしれませんが、地鎮祭がその代わりをしてくれているような気はします。ただ、売買等によって土地所有者が変わると、見ず知らずの人に鎮められてもな~と魂の方は思ってるのかもしれませんけどね(^^;)
2007/01/26(金) 04:15:57 | URL | m-louis #Fos2lKYE[ 編集]
仙台では駅の東口開発というのがものすごい勢いで
進められているのですが
それによって古き良き時代の趣きのある街並、家々が
否応もなく解体されてしまいました。
今日近くを通ってみたら、ほとんど更地になっていて
なにか空洞のような、魂のなくなったただの土地に
なったような気が・・・。
新しい建物(ほとんどはマンション)が建つことによって
新たな命が吹き込まれるんでしょうか?
そうも思えないんですけどねえ~
時代の移り変わりゆえしょうがないことなんでしょうが。
「なくなっていく古い建物たち」という言葉に
反応してしまいました(^_^)
2007/01/25(木) 23:25:32 | URL | かくさん #eHH0iDmw[ 編集]
ありますか~
>ちはるさん
こちらこそ今年もよろしくお願いします!
いや~、そうですか、解体の時もすることはあるんですね。でも、多分名もない建物はほとんどなされないでしょう。。まあ、お祓いをすればいいかというものでもないでしょうけどね。
私は、どんな小さな建物でも、魂が宿っているように思えてしまうんですよ。
2007/01/22(月) 20:42:53 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
解体時も・・・・
neonさん、こんにちは。今年もよろしくお願いします (^^)

建物解体時のお払いですが、皆無ではなくすることもあります。する時の状況を思いだしてみると古い建物・・・・100年近く経っているような建物はしてますね。
または現在に類を見ないモノ。

建物に魂が宿るには相当な歳月がかかるようで、宿るまでに壊されていくものが多いのかもしれませんね。

2007/01/22(月) 09:44:14 | URL | ちはる #PJakg2V.[ 編集]
Aria様
>お、この地味な画にコメントありがとうございます。この画はちょっと実家のある横浜の風景に似ています。
私は自分の画はあまり飾らないのですが、この画はわりと落ち着くので部屋に掛けたりしていますよ。
2007/01/18(木) 19:04:26 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
独特の雰囲気ですね。
独特の雰囲気ですね。
この街並み。
デスクトップに貼付けて、仕事中にも見ていたい気分です。
なんだかホッとします。
2007/01/18(木) 16:07:20 | URL | Aria #-[ 編集]
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