
お知らせしている「近代建築 街角の造形デザイン」の展示に、曙ハウスの画とともに、その間取り図を展示したいという話が当初からあった。本当は模型も・・・ということも話題にのぼったのだが、何せ消えてしまった建物。図面を持っている人もいないし、住人の方も散りぢりだし、建物に入ったことのある人でも、なかなか部屋の間取りなどというものは、覚えていないものである。
それで、主に写真から、そのだいたいの図面を起こしてみることになった。
masaさんの撮られた写真をもとに、m-louisさんがおおよその図面を引いて下さった。そして、お二人の記憶、その他お話を聞かせて下さった方々の記憶をもベースに、修正を少しずつ重ねる。それがほぼ終わったところで、「正確な建築的図面ではないから、展示の時は手描きの仕上げに」ということで、仕事が廻ってきた。「neonさんの作品としての意味合いの濃いもので好いですよ」というふるさと歴史館の有り難い意向。
かなりあったプレッシャーもそれで少々和らいで、自分の中でこの図面をどう仕上げるかを考える。
今回イメージの下敷きにあったのは、齋藤真一さんの「吉原細見記」展のときの、齋藤さんが描きおろした吉原の遊廓図の、細い面相筆の強く弱く美しい線と文字、そして建築詩人立原道造の、設計下書きスケッチ?の鉛筆書きによる愉しい闊達な線。どちらも大好きで、とてもとても及ぶべくもない素晴らしいものだ。
だが図録やファイルを見ているうちに、何となくイメージができてくる。
どういうものかと言うと、
古色を感じさせる、でも温かみのある雰囲気。。。
それで、少しきなりがかった色の和紙に描くことにし、白山にある専門店「紙舗 直(なお)」へ行く。イメージにぴたりのものが出てくる。耳のついた楮一枚漉。色合いも肌合いも好い。滲みが出ないかを確認して、数枚を購入。和紙に描くのは、鉛筆書きでも失敗ができない。消しゴムを少しでもつかうと、和紙の繊維が引っかかり、汚く剥離してしまうのが嫌なのだ。ペンや墨で間違えたら、勿論一からやり直し。。。
翌日午前、気持ちをととのえてまず元の図面に和紙を乗せ、ごく薄く鉛筆でトレース開始。そのあとごくごく淡く顔彩で線をなぞり、少しぼかしを入れようとしたら、かなり滲みが出そうなので慌ててやめ、かわりにお気に入りリラのグレー12色色鉛筆でぼかしを入れることにした。少しセピアがかった色もあり、古色な趣。
他にも数色淡い着彩を施した上に、今度はいつものミリペン(今回はほんの少しセピア色の極細。)で線描き。この細い線を入れると全体が締まってくる。
最後に文字を入れる。
聞き書きの内容は、確としたものは少ないのだが、ハウス周辺のこぼれ話のようなものを按配してみた。文字がはいると、何故か画面が少し活き活きしてくるような感じがする。このへんの文責はワタクシneonが請け負っておりますので、もしご意見その他ありましたら、ワタクシまで。
で、ようやく夕方までにはほぼ仕上がる。
いっとう最後に、縮尺を示す棒尺の表示を小さく描く。
尺表示とm表示を重ねたもの。これはふるさと歴史館専門員の北田さんに教えていただいて、真似してみた。
そして今日、歴史館に搬入完了。
マット入りの額に入れて頂き、明後日10日より曙ハウス画の隣に展示される予定であります。
(写真掲載は、北田さんの承諾を得ています。一応まだ展示前なのですが、宣伝しておいて結構ですとのことでした。)
かなりあったプレッシャーもそれで少々和らいで、自分の中でこの図面をどう仕上げるかを考える。
今回イメージの下敷きにあったのは、齋藤真一さんの「吉原細見記」展のときの、齋藤さんが描きおろした吉原の遊廓図の、細い面相筆の強く弱く美しい線と文字、そして建築詩人立原道造の、設計下書きスケッチ?の鉛筆書きによる愉しい闊達な線。どちらも大好きで、とてもとても及ぶべくもない素晴らしいものだ。
だが図録やファイルを見ているうちに、何となくイメージができてくる。
どういうものかと言うと、
古色を感じさせる、でも温かみのある雰囲気。。。
それで、少しきなりがかった色の和紙に描くことにし、白山にある専門店「紙舗 直(なお)」へ行く。イメージにぴたりのものが出てくる。耳のついた楮一枚漉。色合いも肌合いも好い。滲みが出ないかを確認して、数枚を購入。和紙に描くのは、鉛筆書きでも失敗ができない。消しゴムを少しでもつかうと、和紙の繊維が引っかかり、汚く剥離してしまうのが嫌なのだ。ペンや墨で間違えたら、勿論一からやり直し。。。
翌日午前、気持ちをととのえてまず元の図面に和紙を乗せ、ごく薄く鉛筆でトレース開始。そのあとごくごく淡く顔彩で線をなぞり、少しぼかしを入れようとしたら、かなり滲みが出そうなので慌ててやめ、かわりにお気に入りリラのグレー12色色鉛筆でぼかしを入れることにした。少しセピアがかった色もあり、古色な趣。
他にも数色淡い着彩を施した上に、今度はいつものミリペン(今回はほんの少しセピア色の極細。)で線描き。この細い線を入れると全体が締まってくる。
最後に文字を入れる。
聞き書きの内容は、確としたものは少ないのだが、ハウス周辺のこぼれ話のようなものを按配してみた。文字がはいると、何故か画面が少し活き活きしてくるような感じがする。このへんの文責はワタクシneonが請け負っておりますので、もしご意見その他ありましたら、ワタクシまで。
で、ようやく夕方までにはほぼ仕上がる。
いっとう最後に、縮尺を示す棒尺の表示を小さく描く。
尺表示とm表示を重ねたもの。これはふるさと歴史館専門員の北田さんに教えていただいて、真似してみた。
そして今日、歴史館に搬入完了。
マット入りの額に入れて頂き、明後日10日より曙ハウス画の隣に展示される予定であります。
(写真掲載は、北田さんの承諾を得ています。一応まだ展示前なのですが、宣伝しておいて結構ですとのことでした。)
≪この記事へのコメント≫
>只今そちらに伺ってきました~。
お疲れ様でした!TBもありがとうございます。実物のほう、何だかちょっと落胆させないか心配になってきました~。
お疲れ様でした!TBもありがとうございます。実物のほう、何だかちょっと落胆させないか心配になってきました~。
会期後半って頃になって、ようやく予告していた間取り図の下図作成経緯をエントリーしたので、TBさせてもらいました。しかし、何はともあれ、早く間取り図の実物を見たいです(^^)/
>展示にお越し頂きありがとうございました。歴史館のほうは3月までやっておりますので、またお時間のある折お出かけ下さいね。根津にいらしたのにお会いできずに残念でした。。。
今日、根津教会の方におじゃましました。歴史館は時間がなかったので今週中の協会の方を先にということでした。
masaさんの写真とともに「N的+界隈」ワールドを堪能してきました。
masaさんの写真とともに「N的+界隈」ワールドを堪能してきました。
>今回の間取りは、正確なものではありませんが、ああいう描き方にしたことで、生活の匂いのようなものはちょっと感じていただけるかも。。。
>是非お待ちしていま~す。もしよろしかったら私にも是非声をおかけ下さいね~。
歴史館のほうの企画展は、とても充実した内容だと思います。そして、何と言ってもいっちゃん最初のもんが・・・(涙うるうる)。
歴史館のほうの企画展は、とても充実した内容だと思います。そして、何と言ってもいっちゃん最初のもんが・・・(涙うるうる)。
間取り図があることで、このアパートでどのような生活があったかイメージが膨らんできますね。
そのうちに、東京にいきますので、拝見させていただきま~す。なんだか、歴史館の企画展、すばらしいものに仕上がったようですね。楽しみにしています。
>こんにちは、お越し頂きありがとうございます!私も昨日実は根津教会のあの場にいましたのに、与太郎さんとはわからず、失礼致しました。今日講演に行けばお目にかかれるかな?
間取り図も見て頂きありがとうございます。
あ、コピーご希望なら差し上げますよ。手元に戻ってきましたら。。。
間取り図も見て頂きありがとうございます。
あ、コピーご希望なら差し上げますよ。手元に戻ってきましたら。。。
>どうも昨日はありがとうございました~!
愉しかったです。お風邪早くよくなりますよう。
間取り図はこれを叩き台に、また何か新しい情報などが入ってくると好いと思いますし、私も今後もう少し色々勉強?してこういうものをまた描いてみたいなと思っています。でもここまで何とか描けたのは本当に皆さんのおかげです。
愉しかったです。お風邪早くよくなりますよう。
間取り図はこれを叩き台に、また何か新しい情報などが入ってくると好いと思いますし、私も今後もう少し色々勉強?してこういうものをまた描いてみたいなと思っています。でもここまで何とか描けたのは本当に皆さんのおかげです。
■意見
ハウス周辺のこぼれ話、あの書き込みがありとてもいいです。
いい間取り図が出来ましたね。お疲れ様でした。
会期終了したらcopyが欲しい位です。
ウン!本になるだろうから其れまで待つしかないかな。与太郎
ハウス周辺のこぼれ話、あの書き込みがありとてもいいです。
いい間取り図が出来ましたね。お疲れ様でした。
会期終了したらcopyが欲しい位です。
ウン!本になるだろうから其れまで待つしかないかな。与太郎
>「ほぼこんな感じではなかったか」という図面です。
何十年も生きた建物ですので、住人は入れ替わり立ち替わりだったようですが、昭和40年代ごろまでは、職人の町でしたから、そういう人が多く住んでいたようです。できた当初のハイカラな様子を想像すると愉しいですね。
何十年も生きた建物ですので、住人は入れ替わり立ち替わりだったようですが、昭和40年代ごろまでは、職人の町でしたから、そういう人が多く住んでいたようです。できた当初のハイカラな様子を想像すると愉しいですね。
この図面が、内部の図面なんですね。
よく見ると、大工さん一家等の文字が。
図面をみて、外観をもう一度見て、内装を想像し、楽しめそうです。
住んでみたいなあ。
よく見ると、大工さん一家等の文字が。
図面をみて、外観をもう一度見て、内装を想像し、楽しめそうです。
住んでみたいなあ。
2007/02/08(木) 16:02:15 | URL | Porco Rosso #CDyYZvKI[ 編集]
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文京ふるさと歴史館で現在展示中の neonさんの描かれた曙ハウスの間取り図については、N的画譚「曙ハウス 間取り図を描...
2007/03/08(木) 14:12:41 | 谷中M類栖
まちかどの近代建築写真展がスタートしました。写真が会場の日本基督教団根津教会です。(登録文化財)2004年8月にスタートしたこの企画。今回が8回目になります。当初はこんなに続くとは思ってみませんでした。今回は大倉ひとみさんとmasaさんをゲストに迎えてい
2007/02/13(火) 06:33:00 | 喫茶店で瞑想して、 銭湯で元気になる
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