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N的画譚

N町在住、陋巷の名も無き建築物を描くneonによる、日日の作画帖です。
建物の表情



千葉県立美術館でやっている「ユトリロ展」に行ってきた。
東京から一時間の距離はちょっと遠かったが、京葉線からの眺めも初めて見るもので、悪くなかった。

今まで印刷物で見ていたユトリロの画にはそう心惹かれなかったのだが、一度銀座の画廊でホンモノを見てしまったら、ああこれはすごいと感動して、今回80点も出ているというのでどうしても観ておきたくなったのだ。
なかなかゆったりとしたスペースで、余裕をもった展示の仕方だったので、ゆっくり観ることができた。作品はやはり初期のものが特によくて、陰鬱なグレーの空に漆喰の白い建物が静謐な存在感をもって並ぶ。

知らなかったのだが、ユトリロは若い頃からアル中で、家庭環境も酷かったのである。そして町角に画架を立てて描いているのだとばかり思っていたのに、巷の絵葉書写真を与えられ、金稼ぎのために母親に監禁されながらそれをもとに描かされたのだという。驚いた。
実際に見ていない建物たちに、くぐもった、しかし見る者を惹きつけるピュアな表情を与え得たのは、やはり天賦の才能なのだろうか。。。

で、今日の画はユトリロとは関係ない(苦笑)ワタシの過去の駄作であります。
ちょっとアヤシゲな場末の界隈をミドリ色に描いてみたかった、4~5年前の作品です。



Comment
≪この記事へのコメント≫
銀ねずみ様
>私もユトリロの来歴は初めて知ったのでびっくりでした。だってあんなきっちり遠近法を駆使して描いているのに、アル中だなんて。。。でも私生活は酷かったようです。
ところで!私は花火キチです。もうあの音が聞こえてくるだけでいてもたってもいられなくなります。勿論あの一瞬の光の華、とくに柳が好きなんです。あの色は和硝子とともに、私の根底にある色(でも表現し尽くせない・・・)ですね。
2007/08/27(月) 22:21:43 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
マフィンマン様
>あ~持ってますよ、「失われた帝都 東京」。あの本大好きで、随分参考にして描きました。旧いバーの写真や美容室なんかすばらしくモダンですよね。
拙作はお恥ずかしいモノですが、「昭和なマダム」は好いですね~。カーラーでぎっちり巻いた髪型でしょうね。
2007/08/27(月) 22:14:20 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
titti様
>ユトリロは、パリの狭い範囲の絵しか描いていませんが、どうも大変お金にはなったようで、いつも母親や妻(といってもどうもお金目当てくさい)にがっちりマネージメントされて描かされたようなのです。アジェなどは好んで町を撮ったのでしょうが、どうもそれとは違うようなのです。でも画が(全部ではないけれど)活きているのが不思議な感じでした。
2007/08/27(月) 22:07:38 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
ユトリロの…
ユトリロの作品を見るたび、何か病んでいるような印象があったのですが、なるほどそういう環境に置かれていたからなのかと、目から鱗が落ちたような気分になりました。
話は変わりますが、先日となりまちで大規模な花火大会が催されました。自宅近くの高台から眺めると、パチンコ店のネオンの向こうで次々と色鮮やかな花火が上がっていて、ふと「何だかneonさんの作品みたいだ」と思いましたよ。
2007/08/27(月) 20:10:14 | URL | 銀ねずみ #HfMzn2gY[ 編集]
好い香りがしますね
ん~、こういう建物は、写真集「失われた帝都 東京」(1990年、柏書房)に出てくる大正・昭和期の名建築たちの空気を漂わせています。
好い香りがしますね~。
階段を上がり、ドアを開けると、パーマネントも艶な、いかにも昭和なマダムが出てきそうです。
カウンターに並んでいるのはオールドですね。
2007/08/27(月) 20:07:43 | URL | マフィンマン #SFo5/nok[ 編集]
ユトリロですか、母が好きなようです。
私は、画集を観るたびに、なぜ街角ばかりを描くのか不思議に思ってました。

写真家だと生涯パリを出なかったロベール・ドアノー、古いところだとアジェに通じるものがあるかもしれませんね。
2007/08/27(月) 18:00:47 | URL | titti #-[ 編集]
風俗散歩様
>はい、仰有るとおりです。
でもほんとはお洒落というより怪しげな建物や町角を基にしています。ちょうど貴ブログのなかに出てくるような、ごみごみした、猥雑な一角かもしれません。。。
2007/08/25(土) 21:11:39 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
Porco Rosso様
>この画の建物は結構狭いのですが、きっと階段を上ると目くるめく世界が・・・なんて、どうなんでしょうね~。ネオンのついた建物はやっぱり好きなんです。

ユトリロは、とてもアル中の人が描いたとは思えない緊密な遠近法の風景画です。でもホンモノを見るとすごくピュアな感じを受けますよ。是非御覧になってみて下さい。
2007/08/25(土) 21:08:46 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
この緑の建物は、お洒落な建物ですね。
Y字路にある狭小建築で、正面2階が入口になっていて、そこまでは階段が続いているようですね。
2007/08/25(土) 10:07:37 | URL | 風俗散歩 #VktuezEw[ 編集]
ミドリの建物に
ミドリの色彩に描かれた、この建物。
階段を登って行った先には何がまっているのでしょう?
不思議と入って行ってみたくなります。
奇麗なオネーサンが、沢山舞っているお酒のお店でしょうか?

ユトリロ、説明の記事を読んでみて、絵を見たくなりました。
ちょいと検索してみます。ポチッとな。
2007/08/24(金) 21:44:26 | URL | Porco Rosso #-[ 編集]
henronin様
>はい、なかなかゆっくり見られてよかったです。ユトリロは壁土だけでなくたまごの殻や鳩の糞やら絵の具に混ぜてたらしいですよ。でも実物を見るってことはやっぱり好いですよね。都内でもやってくれたらとも思いますが、混んで人の頭越しに見るよりは、遠くてもゆっくり見られるほうがいいかなとも思います。
2007/08/24(金) 11:27:10 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
ユトリロの白
ユトリロの白はパリの壁土が混ざっているとか?彼の白は魅力的な白でたまらなく好きです、千葉美術館はやはり遠いですね、大阪では高島屋がやってたので東京でも高島屋さんやってくれないかな、いい物がご覧になれて良かったですね。
2007/08/24(金) 10:58:20 | URL | henronin #-[ 編集]
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