
今回は画のアップはお休みして、ちょっと違う話題です。
でも、昔から大好きだったちりめんの布について。
半襟を縫いつけるために、久しぶりに出したちりめんの長襦袢。以前骨董屋さんで手に入れたもので、おそらく昭和初期頃の、戦前のものです。若い頃からちりめんの布地は大好きで、少しだけはぎれ集めもしていたのですが、この襦袢も着るというより布模様の美しさに惹かれてしまったものです。だいぶ傷んだ箇所もあり、布地が薄くなっていたりしますが、色合いの見事さは御覧のとおり。これを見ているだけでもうっとり時間が過ぎてしまいます。
傷んだ箇所は、誰がしたのかあて布(それもまた綺麗なちりめんはぎれ)をして繕ってあるのです。お店のひとがしたのか元の持ち主がしたのかさだかではないのですが、ちくちく刺した手縫いの針目は、なんともあたたかくて、布のやわらかさとともに、年月を経たものの優しさまで感じさせてくれます。
昨年の秋に出た「銀花」147号に、こうした昔のはぎれを接いでつくった長襦袢や産着などの名もない作品が沢山出ていますが、本当にどれもうつくしく、大切に繕いながらそれらを受け継いでいったことが偲ばれます。
私の幼い頃は祖母も木綿の着物を着ていたし、今のように「着物」が必ずしも高級品ではなく、まだ辛うじて身近にあったのだと思います。そして洋服でも靴下でも、穴があいたら繕ってまた着ることもずっと多かったような気がします。私自身、裁縫上手でもありませんが、靴下やズボンの膝などの繕い物はよくやっていました。たぶんあの、単純なちくちく縫いが好きなのですね。
で、この美しい柄の古い襦袢も、色々チェックして細い絹糸で繕ってやる時間は、何だか気持ちがやさしくなるようで、今に、画の合間に老眼鏡でちくちくやっているおばあちゃんになるのも好いなあなどと本当に思ってしまうのです。
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