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N的画譚

N町在住、陋巷の名も無き建築物を描くneonによる、日日の作画帖です。
百鼠(ひゃくねず)
百鼠308


ここのところずっと、もう少し線だけでも耐えうる画、またもう少し抽象度を上げた画をつくりたい欲求がふつふつと心の中に湧いている。(あ、以前も言ってました?・・・ですよね)試行錯誤の時間がワタシはいつも長いから、まあそれも好い時間なのであるが、やはりなにかとっかかりが見つかるに越したことはない。

ところで、着物関係の本を読んでいて「百鼠」という言葉を知った。
「四十八茶、百鼠」というのだそうだが、江戸時代に生まれた言葉で、茶と鼠は色のことである。
茶色にも鼠色にも、それだけバリエーションがあるという意味。
江戸時代後期、奢侈禁止令によって華美な色彩の装いが出来なくなったとき、許可されていたこのふた色を逆手にとって、これだけのバリエーションがあるんですぜお上、と迎え撃ったわけで、さすが江戸の町人はスバラシイ。

ちなみにどんな色の多様さかというと、
こんな感じ
名前がまた惚れ惚れするほどうつくしい。色合いも抑えられた粋の様相、というかまあ流石であります。

ワタシも現在画を描くときに一番多用するのがグレー色なのであるが、主に下塗りに使い、そのまま塗り重ねて基本色にもなっている。他の色を使うときも、ほんの少しグレーを混ぜておくと、渋みのある色になる。ワタシの好む陋巷の家々は、意外とそういう色合いが合うのだ。

色数を抑えながらもグレーの諧調にバリエーションを持たせる、
好いなあそんな画をつくりたい。
抽象度=やっぱり洗練となる。
ワタシのバアイは何処かに差し色をぽちっと注したくなるが。

そしてまだまだ試行の日々はつづく。。。
Comment
≪この記事へのコメント≫
M.Niijima様
>ごめんなさい、コメント頂いたのにお返事を差し上げていなかったのに今気が付きまして。。。失礼致しました。
今更ながらですが、日本の季節感や色彩感の繊細さには感心しきりです。先祖の大切にしてきた感覚を、忘れないでいたいと思いますよね。
2008/07/29(火) 09:46:23 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
銀ねずみ様
>あ、ようこそこのエントリーに。
銀ねずみさんにはコメントして貰えたら好いなあと思ってましたよ!
しかし鼠色でもここまで幅が広く深く、味わい或るモノとは。。。日本人って凄いなあと思わせます。色に対する興味、感覚がすぐれて高いのでしょうね。
いつか「銀鼠」色の着物が似合うようになれたらな~と思う近頃です。
2008/07/17(木) 10:03:04 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
銀ねずみ色
本当に和の色は、色彩だけでなく名前も実に素晴らしいと思います。かくいう私の名前「銀ねずみ」も銀鼠色が由来の一部でありまして(あ、前にもお話ししましたっけね…)。日常からは忘れられつつある和の色も和の柄も、大切にしていきたいものです。
2008/07/16(水) 19:48:59 | URL | 銀ねずみ #sQ7xWqqc[ 編集]
ああ、わたしも日本の色の名が好きですが、一部の名称を除いて百鼠と四十八茶というのは存じませんでした。こういう豊かな感覚を身につけたいなぁと思ったです。
2008/06/16(月) 23:27:57 | URL | M.Niijima #/5vwt0Ak[ 編集]
Porco Rosso様
>すごく色々なバリエーションがありますでしょう。それにみんな渋くて素敵な色で、感心してしまいます。日本人て色の感覚が微細なんですね。
歳のせいもあると思いますが、落ち着いた色合いのものは、建物でも衣服でも安堵感があって、気持ちが馴染むように思いますねぇ。
2008/06/15(日) 15:53:53 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
こんなかんじ というところをポチッと押してみると、
本当、色が色々と。
奥が深いですね。
色ひとつをとってみても。

落ち着いた色合いに煙突のある建物の風景。心が落ち着きます。
2008/06/15(日) 08:15:30 | URL | Porco Rosso #-[ 編集]
Nobu様
>最近ちょっと具象ぽい感じになっているような気がして・・・もとはもっと抽象に近いものを志向してまして、またそちらに路線が戻ってきたというか。。。まあ気まぐれですので、思うまま色々やっております。

いえいえ「差し色」に反応なさるだけでも充分お洒落感覚お持ちだと思います。お写真を見ていれば分かります。・・・所謂一般的お洒落とは違う、わざとらしくない、でもさりげない・・・そんな気がしマスですよ。
2008/06/12(木) 19:22:38 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
Rambler5439様
>いや~ジオラマのお話は興味深いですね~。面白いです。なるほどやはりそうやってグレーを重ねるんですね。質感っていうのは画においても永遠の課題かもしれません。

有機溶剤禁止・・・ですか?
それはそれは・・・奥様ごもっとも、とも思うし、でも模型づくりの現場はチョー面白そうだし。。。やっぱりここは、<男の隠れ家>をどこかに確保するしかないかな~?。あ、べつにご自宅に離れ、でも好いかも~。
(好いな~ワタシも欲しい)。
2008/06/12(木) 19:16:52 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
とっぷくぷ様
>すごいでしょう、茶色のほうも語呂で四十八ってなっていますが、もっとあるらしいですよ。江戸の粋って格好いいですよね~。

ところで銭湯は値上げですか?450円はキツイですね。ワタシが学生の頃は300円だったなあ。うちの近所は閉鎖になってしまい、煙突はまだ残っていますがさびしいです。
2008/06/12(木) 19:10:08 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
差し色
今回の画はシンプルですね~
平面のように見えて、でも立体的でもあり、
ちょっとフシギです。

>>ワタシのバアイは何処かに差し色をぽちっと注したくなるが。
私の服装は、どうも同じ色目のものばかりになりがちなので、帽子やカバン、靴で「差し色」を意識してはいるのですが、絵画にも通じるものがあるのでしょうね。…って、私そんなオシャレさんではないのに語っちゃって…ハズカシ
失礼しました!
2008/06/12(木) 15:48:30 | URL | Nobu #mQop/nM.[ 編集]
奥が深いですねー
色、とくに伝統色の世界は奥が深いですね。色にまつわる言葉から、その言葉が生まれた自然や歴史、暮らしといったものが垣間見えるのも楽しいです。
ちなみにジオラマをつくるときに、もっとも重要な色がグレーで、これをどう使いこなすかによって、作品の質が決まると言っても過言ではありません。たとえば木材は、墨汁や黒インクをアルコールで薄めたもので染め、ベースの質感を出しますし、黒く塗られた蒸気機関車も、真っ黒に塗ったらスケール感が損なわれてしまいますので、いくつものグレーを塗り重ねていきます・・・なんて書いているうちに、模型をつくりたくなっちゃいました(連れ合いから有機溶剤禁止令が出されているため、この2年ほど全くつくっていません)。
2008/06/12(木) 10:37:29 | URL | Rambler5439 #0ecWsDRU[ 編集]
こんばんは!
「四十八茶、百鼠」ってすごいですね。
とても覚えきれないっす。
ちなみに僕は銭湯利用者・・・。
今度450円になるんですって!!
がび~~~~ん。
2008/06/12(木) 02:05:23 | URL | とっぷくぷ #oUhimzdA[ 編集]
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