
少しく遠出して歩いてみた街は荒れ果てて、冬の西日が海風に煽られて弱々しく射し込んでいた。
崖が多いから階段が至る所にあるのだが、その石段のすり減った丸みだけはひっそりとやさしい。
嘗て賑わった巨大な建物がまるごと廃墟となり、硝子張りのエントランスからがらんどうの室内が見え、その向こうに凪いだ冬の海さえ見おろせる。暮れてくれば明るいネオンの付くはずの歓楽街も、落ちそうな看板や切れた電線がぶらぶら揺れて、錆のひどく出た窓辺は、その錆色だけが華々しい。
だがそんな中をのぼり下りしながら、閑まりかえったこの街の枯れきった匂いを肌で感じていくのは厭なことではない。寧ろ少しずつ心のなかに弱くはあるがゆっくりとぼんやりと、光が射すような気になるのは何故なのだろう。自分の影法師がながくながく曳かれてみえるのが何だか可笑しいことのように思え、寂しさや侘びしさも忘れ、そして何処からかやってきて建物の高みに止まり、親しげに私を見下ろして啼く追憶の鳥の声を夢のように聞く。
≪この記事へのコメント≫
>どうもこちらこそです~。また出てきて下さい。
ガンタ先生は最初はふ~んという感じで見ていたのですが、なかなか画的な写真であったので、そのうち「お、なんか自分の画でもこんなんしたらええんでないか~?」とちらっと思いあたることがあり。・・・まあそれが実際に自分の画のなかで巧くつかえるかは時間がかかりそうですが。
いずれ流されていく中州・・・
まあそうでありましょう。
現実はそうでありますが、記憶にながくとどめることは可能かとも。
ガンタ先生は最初はふ~んという感じで見ていたのですが、なかなか画的な写真であったので、そのうち「お、なんか自分の画でもこんなんしたらええんでないか~?」とちらっと思いあたることがあり。・・・まあそれが実際に自分の画のなかで巧くつかえるかは時間がかかりそうですが。
いずれ流されていく中州・・・
まあそうでありましょう。
現実はそうでありますが、記憶にながくとどめることは可能かとも。
先日はありがとうございました。
がんた先生にはなにかヒントがあったようですが。
楽しみにしてます。
GG-1さんと月島の古民家と猫歩き横丁を擦り抜けていると、その一角を取り囲む新しい道路がやけに幅広く感じました。
いずれ流されていく中州のような...。
がんた先生にはなにかヒントがあったようですが。
楽しみにしてます。
GG-1さんと月島の古民家と猫歩き横丁を擦り抜けていると、その一角を取り囲む新しい道路がやけに幅広く感じました。
いずれ流されていく中州のような...。
2009/01/15(木) 10:31:25 | URL | titti #Yl6JfxOE[ 編集]
>今回の記事にコメントを付ける人は多分いないんじゃないか・・・と思ってました。ありがとうございます。今回のは発作的に描いた画と文章なので、「あ~またちょっとオカシイ奴・・・」と思って頂ければいいんです。
建物ってどんなになっても静かにおし黙っていつまでも佇んでますよね。そしてそれが複数立ち並んでいると、何も語らない(語れない)のに、何か胸に迫るものがあるような気がしてきて。そして、何故かそういう所を歩いていると、みちてくるものがあるような気がして。。。
建物ってどんなになっても静かにおし黙っていつまでも佇んでますよね。そしてそれが複数立ち並んでいると、何も語らない(語れない)のに、何か胸に迫るものがあるような気がしてきて。そして、何故かそういう所を歩いていると、みちてくるものがあるような気がして。。。
泣きはらして、片隅を赤くはらし、
なみだで青く潤む瞳、
その瞳と烏との間によどむ空気感、
錆色の壁、
垂れた電線、
すべてが寂寥、寂寞に包まれて凍り付いた記憶を語りかけてくれるようですね。
なみだで青く潤む瞳、
その瞳と烏との間によどむ空気感、
錆色の壁、
垂れた電線、
すべてが寂寥、寂寞に包まれて凍り付いた記憶を語りかけてくれるようですね。
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