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N的画譚

N町在住、陋巷の名も無き建築物を描くneonによる、日日の作画帖です。
武野さんの額
20060430115419.jpg

こんな下手な写真を載せるのは本当に憚られるのだが、今写真の勉強をしている時間がどうしてもないので、どうか我慢してご覧下さい。
さて、写真はマズイが、スバラシイ額なのである。
画というもの、やはりそれを飾るのであれば、うつわである額は大切な要素だ。とは言うものの、なかなかこの選択は難しい。画材店に行けば既成のものは沢山あるし、見本も色々ある。だが、様々な展覧会などで名画とよばれるものを見るとき、なんだか額が合っていないなとか、なんでこんなキンキラゴテゴテ額なんだろうとか思うことがある。意外とそこまで神経が払われていないケースも多いのだ。画家のほうも、案外額には無頓着ということも意外に多い。
でもやっぱり私は額というものには、作品と同等の愛着を感じていたいのである。
そんなわけで、2000年に銀座で個展をするにあたり、額探しをすることになったときふと思いついたのは、不遜にも齋藤真一と言う画家の額のことだった。彼は「越後瞽女日記」などの作品で有名な画家だが、額にも非常にこだわりのあった方で、画集にも額ごと写真が掲載されていたりして、大変惹かれていたのだった。この額を作っている方を知りたいと思った私は、彼の作品を扱っている八重洲のS画廊に問い合わせてみた。しかし、もうすでにその職人さんは物故された由。だが、それに似た額づくりをなさっている職人さんだといって紹介されたのが、武野さんという方だった。

画廊を通して、2作品の額装をお願いしたところ、非常に素晴らしい額がやってきた。何が素晴らしいかというと、シンプルなのに味わいがあり、拙い私の画の雰囲気にも非常によく合っているのである。
既存の額で、シンプルな木製で塗りのものは少ない。私はごくフラットなものをお願いしたのだが、これがほとんど画材店にはないのだ。武野さんの作られたものは、思い通りのシンプルさだった。そしてそのシンプルさは非常に洗練された印象なのである。

そしてまた、枠部分の塗りの感じが素晴らしかった。齋藤真一氏の額は漆にも似た塗りで仕上げておられるが、武野さんのも何色かを微妙ににかさねて絶妙の深い色合いに仕上がっている。これは画を見ながらそれに合わせた調子をつけていくそうで、私の拙い画にもしっくり合っているのは当然なのだ。

そして右の写真で何とか判るかな?と思うが、画との際の部分に細く少し色の違う枠が入っている。これは「入れ子」と言うのだそうで、ここの部分は少し違う色が入り、アクセントにもなっている。
とても素敵すぎて、私の画を入れるなんて恐れ多い気がしてきたが、何人か目の肥えた方に見て頂いたところ、「この額で行け」とのこと。以来、展示の時はすべて武野さんにお願いしている。いつも細かくこちらの希望を言わせていただくが、武野さんはそれを吟味されて思った以上のものを作って下さる。おかげで展示でも非常に好評で、個展会場で開口一番「額が好いね~」などという人もいる。でもそう言われてもちっとも嫌な気もせず、ほんとに私もそうだと思っているのでかえって嬉しいくらいなのだ。そして武野さんという人も、こんなに素晴らしい額を作られるのに、いつも気さくで頭が低く、心から私は、こんな方に額を作って頂ける幸福をかみしめてしまう。

今回は大きな画はかつて作って頂いたもの、新たなものとしては左の写真のように(見づらいと思いますが)、画が箱形の額の中で浮いているように見えるものを作って頂いた。綿密に色や形について打ち合わせをして、あとはお任せする。今回もうっとりするようなものが出来上がった。色も、紅の上に紫をかけた黒み勝ちのもの。これはF0サイズの小品を入れるサンプルとして会場に並べておきます。壁面には、箱部分を取り外した塗りの背板(これも作って頂いたもの)の付いたものが展示されています。(コンクリート打ち放し壁のため)。普通の室内には、勿論額装がお奨めです。とにかく、画とともに額の方もじっくり会場でご覧下さい。

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2006/05/28(日) 10:03:39 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
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2006/05/28(日) 00:34:37 | | #[ 編集]
10倍ぐらい
>kadoorie-aveさん
お忙しいでしょう、コメントありがとうございます。額はたぶん実際に見たら10倍くらい素敵だと思います。「吸い寄せられるような質感」は言い得て妙!です。まあ後は中身の画がそれに追いつくのか?っていう、重大問題が。。。
2006/05/01(月) 19:57:39 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
うわぁ、なんていい額なんでしょう!
neonさんの絵にしっくりと合っていて(当然なのでしょうけれど)いい雰囲気を醸し出していますねぇ。
思わず手で触ってみたくなるような、吸い寄せられるような質感です。
うらやましいなぁ。
私もきっときっと時間を作り出して伺いたいと思います。
2006/05/01(月) 13:56:55 | URL | kadoorie-ave #a1gTsb.2[ 編集]
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