
時間が前後するが、夏に信州の或る小都市に立ち寄ったのだった。
その町の気になるカフェーふうの建物を見に行ったのだったが、そこから暫し奥(というか裏)のほうに行ったところに、何だかおかしな一帯があって、うらぶれたというか、でもすさんだ感じというよりは「キテる」感じの濃いい(笑)昭和のスナック街なのである。
店の造りはどれも安っぽくて高い建物も無く、平屋みたいなのが狭い路地の片側に軒を並べているのだ。向かい側はブロック塀で、ほんとはこの画のようには見えないのだが、まあ画であるからして、塀を取っ払った感じで描いてみた。染みだらけのモルタルの壁が続いているが、すさんだ感じがしないのは、おそらく客の入りはそこそこあるせいではないだろうか、野暮なのだが開き直った底力と暢気さとが感じられる。
蒸し暑い真昼間、この辺りを歩く人は皆無だったし、この小さな町の目抜き通りにさえ、賑わいやひと気というものがほとんど無かった。だが、駅前付近の裏通りにも、歩くと恐ろしい数のスナックが林立しており、どうやら人口の少なさに反して、スナック好きはこの町に多いようなのである。
まあ好いではないか、こういう野草のような場末の町も、それはそれなりに魅力的ではあるのだから。
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