
20号サイズの画を3点、11月の個展に出す予定にしていて、2点は7部通り描けてきたのだが、最後の1枚を何の建物で行くかずっと迷っていた。
描きたいものは沢山あるのだが、20号という大きさに耐えうる、ある程度は見応えのあるもの。
そして、実は3点に「デカダン・アパート」というタイトルを付けたいと考えていたので、それに相応しいもの。。。
ふた月ばかり迷っていたが、最終的に鴬谷駅に近い台東区根岸にあった古いアパート・・・「鶯荘」を横から見た構図で描くことにした。
このアパートもワタシにとってはかなり想い出深く、圧倒されるような時代錯誤な存在感を以て、平成の世まで残ったがついに無くなってもう数年経つ。何度か線画で描いてみたことはあったが、大きい作品としては初めてである。
晩年の姿は凄味さえ感じられたが、内側に中庭を持ち、アプローチの部分のデザインや丸窓など、竣工当時はさぞモダンで時代の先端をゆくものであったろう。「お妾アパート」の別称もあったという昭和の初期の、ロマンチックながらデカダントな雰囲気、そしてワタシが実際に見た晩年の、(一階部分は目茶目茶に色々な店舗が改築入居していたが)やや滑稽にして、それでも辺りを睥睨していたあの威容・・・をワタシなりに描いてみたいのである。
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