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N的画譚

N町在住、陋巷の名も無き建築物を描くneonによる、日日の作画帖です。
銀座幽霊


皆様、暑中お見舞い申し上げます。
梅雨明けと共に日中はかなりの暑さ。ということで、暑気払いに今日の画像。。。タイトルからしてちょっと涼感ありやなしや?

これは2001年に東京創元社から刊行された創元推理文庫の、大阪圭吉著『銀座幽霊』表紙原画。実際の本の表紙は・・・
20060803090617.jpg

このように(右)なっております。『とむらい機関車』(左)と2冊同時発売されたもので、アマゾンで検索したら、まだ販売しておりました。

大阪圭吉は、あまり聞かない作家だと思いますが、1912年愛知生まれ、1932年にかの雑誌「新青年」でデビューするも、43年応召、45年にルソン島にて病没。10年くらいしか文壇で活躍した時期がなく、その後幻の作家と化してしまったのです。
しかし、江戸川乱歩をして「理智探偵小説の骨法を体得し得た」と言わしめた本格派ミステリーは、現在読んでもそこいらの小説を凌駕する厚みがあって唸らせます。『とむらい機関車』なんかは結構私の好みであります。
かなり鉄道好きでもあったようで、「停車場狂い」(『とむらい機関車』所収)というエッセイには、「子供の頃に汽車や停車場の好きだった気持ちの中には、鉄道の持つメカニカルな美への単純な理解がかなり含まれていた。それが追々長ずるにつれて、あの鉄だらけの世界の中に、漸時、人間的な生なましい情感を覚えるようになってきた。全く汽車くらい、停車場くらい、哀楽に満ちた人の世の臭気の、深々と染み込んだものはない。」と書いています。
『銀座幽霊』のほうは戦前の銀座の裏通りで起こる奇っ怪な事件・・・で、柳を揺らめかせてみました。

いずれにせよ、こうした書籍の装画を手掛けるのは、未知であった作家や作品と出会えるという愉しみがあります。

ではどうぞ皆様、ご自愛下さい。
当方明日より3~4日ブログをお留守に致しますので、コメントのお返事は少々遅れるかと思いますが、ご了承下さいませ。
Comment
≪この記事へのコメント≫
GG-1さん
>GG-1さんにコメントしていただきたいと思っておりました。ありがとうございます。
本のほうでは、原画に少し黄味を帯びた色をかけて、古めかしさを醸し出しています。時代的には荷風が歩いていてもおかしくないですね。
しかし機関車の車輪を描いたのは初めてで、かなり資料をあたりました。よく見るともしかしたらおかしい部分もあるかもしれないのですが・・・?大丈夫かな?
2006/08/03(木) 21:18:38 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
原画はひんやり
原画と表装で色調が違いますね
その所為が文庫版はひんやりよりノスタルジックな印象が致します
機関車のほうも同様な印象

街並は
永井荷風辺りが似合いそうな・・・
2006/08/03(木) 19:11:43 | URL | GG-1 #-[ 編集]
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