N的画譚

N町在住、陋巷の名も無き建築物を描くneonによる、日日の作画帖です。
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D鉄工所の想い出













私の故郷である横浜の、Y駅のすぐ脇に小さな鉄工所があった。

ほぼ毎日のようにそこを通っていたからその光景は余りに普通で、長いこと、通り過ぎる月並みな風景にしか過ぎなかった。ちょうど鉄道が通るトンネルの脇にあり、その鉄工所敷地内に入らんばかりの横の細道を通ると、少し早道になる。ちょうどトンネルをまたいで坂道を上って行った先に、私の実家があったのだ。

故郷を離れて何年もして、ふとその光景を想い出すことがあった。

いつも赤錆色の鉄柱や鉄板が沢山置かれて、何かしらを加工する大きい音がしていた。
工員も5~6人はいたような気がする。
どうなっているだろうか。

写真を撮っておこうと思いながら、やっと撮れたのはそれから随分経ってからだ。
建物は辛うじて残っていたが、既に廃業したらしくすべて戸は閉じられて、敷地内には鉄板の一枚も無く
ひっそり閑として眠るかのようだった。
閉め切られた錆トタン板が紅くて美しかった。

その後また何年も此処を訪れていないが、おそらくもう既に無くなっているだろう。
故あって故郷を失ってしまったとも言える自分には、この鉄工所の写真は一種の形見のようでもある。
それを何とか、また一味違った感覚で画面の中に昇華してみたいと考えている。
Comment
≪この記事へのコメント≫
caz様
>コメントありがとうございます。

この鉄工所はいつも色々なものが置かれて作業している場面ばかり見ていたので、静かな閉じられた建物は、淋しいトタン長屋でしかなく、こうやってまたひとつ何かが消えていくのだという気持にさせられます。

風景が失われると記憶からも消えていきますから、そこを何とか自分なりに留めておきたいと思っています。
2011/11/12(土) 21:15:25 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
毎日のように通った道端の風景、その時は何にも特別なものではないのだけど、年月を重ね、そこを去り、記憶の中で昇華していくと、特別な記憶の風景となり、きゅんとくる。ねおんさんの文章と、赤錆ベースの色調の絵に、物思いにふけって、タイムトリップしてました。
2011/11/12(土) 19:27:26 | URL | caz #-[ 編集]
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