N的画譚

N町在住、陋巷の名も無き建築物を描くneonによる、日日の作画帖です。
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一銭五厘たちの横丁-その1


九月の声を聞いた途端に、朝から涼しくなった。

今回から数回、私の住んでいる町の周辺についてのことを、画も織り交ぜながら書いてみます。

私が根津の町に住むようになって三年余りが過ぎた。
このブログの「N的」は、neonのnであると同時に根津のNでもあり、「N町暮らし」というタイトルにしようかとも思っていたのである。
私と家族が住むことになったマンションは、ちょうど文京区根津と台東区池之端の境にあり、かつては根津宮永町、池之端は谷中清水町という名称だった。
千駄木在住のnorizoさんに、「マンションのお隣の床屋さんを桑原甲子雄が撮っていて、その写真が載っている本があります」と聞いたときはちょっと吃驚した。
その本が写真の文庫本「一銭五厘たちの横丁」(岩波現代文庫、2000年刊)である。初版は1975年、晶文社刊。
桑原甲子雄は大好きな写真家で、分厚い新潮フォトミュゼ版「東京」も何度見たか分からないほどだが、この本は知らなかったので早速読んでみて吃驚したのである。

昭和18年に、当時東京下谷区(現台東区)の質屋の長男で写真が趣味だった桑原が、その他50数人の写真家と、出征兵士の留守家族を訪問し、戦地に送るために撮影したのだった。訪問したのは、下谷区車坂町、稲荷町、竜泉寺町、練塀東、谷中清水町。このネガは空襲を何とか免れたが、戦後日の目を見たときにはどれも氏名不詳、桑原の記憶も曖昧になってしまっていた。それで、ルポライター児玉隆也は桑原と共に、撮影から30年を経た昭和48年から49年にかけて、撮影された下町の人々のその後を訪ね歩いた記録がこの本なのである。

因みに、タイトルの「一銭五厘」とは、当時召集令状の葉書が一銭五厘だったことに拠る。

谷中清水町は我が町内と言えるほど道挟んですぐのところ。そこにかつて住んでいた人々の写真が並んでいるのを見たときは、何とも言えぬ感慨があった。そしてどの写真も、父や兄や息子の不在を物語る。「天皇から一番遠くに住んだ人びとの、一つの昭和史を聞き取る」と前書きにあるように、まさに市井の人びとの、戦中戦後の草の根の記録なのだ。

[続きは次回]
Comment
≪この記事へのコメント≫
そうなんですよ
>スコッチエッグ♂さん
トイレはなくても、我慢しますから入れて下さいって言っても・・・多分駄目でしょうね。泡盛は飲めそうもないから、まあいいか。
2006/09/04(月) 21:26:15 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
そうです。
以前友人と亀島さんへ行こうと引き戸をあけると、女の人の御トイレないの。ゴメンナサイね。ていわれたから。そうなんですね。
2006/09/04(月) 20:12:14 | URL | スコッチエッグ♂ #-[ 編集]
ご健在
>カークさん
桑原さんは、ご健在だと思います。「東京昭和十一年」は古本屋で見たような気がしたのですが持っておりません。。。欲しいです。何度見てもその都度新鮮な感覚に気づかされるので、見ていて飽きることがありません。それでいてわざとらしさは全くない、フツーの感じなんですよね。でも、やっぱりフツーではないかも。。。
2006/09/04(月) 19:58:21 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
下町酒場巡礼
>スコッチエッグ♂さん
あ、確かそうでしたね。タイトル「酒屋」でなく「酒場」であります。三ノ輪の亀島酒場のことがらみで出ていたように思います(確認していませんが。。。)。亀島酒場は女人禁制の酒場ですので、入ったことがないのですが、「一銭五厘たちの横丁」にはお店のかたの写真が出てきますし、その周辺の話もあって興味深いです。
2006/09/04(月) 19:52:04 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
「東京昭和十一年」も良いです
桑原甲子雄さんは僕も大好きな写真家のお一人ですが、実家の質屋さんの隣に写真家の濱谷浩、了一ご兄弟らが住んでいたこともあり写真に興味をもったとのことです。
「東京昭和十一年」もおすすめです。まだご健在なのかな~。
2006/09/04(月) 11:23:45 | URL | カーク #-[ 編集]
下町居酒屋巡礼
朝に晩に涼しくなってきました。
私がこの本を手にとったのは、下町居酒屋巡礼でのコラムで紹介されていたからでした。ちょうど三ノ輪あたりの描写と絡めての事だったと覚えています。確かめてみようと下町居酒屋巡礼を本棚に探すもみつからないので、もしかしたら勘違いしているかもしれませんが…。『一銭~』という比喩はよく五木寛之さんも使いますよね。
2006/09/04(月) 03:11:03 | URL | スコッチエッグ♂ #-[ 編集]
ノリゾさん
>根津に来るか来ないかの折にこの本をご紹介下さったのでしたよね。3年経って少しずつこの町に馴染み出して、そうしたら余計この本の深さがしみじみ感じられるようになってきました。
初版本は文庫より味わいがあるでしょうね。次回床屋さんのことを書きたいと思います。
2006/09/02(土) 14:09:49 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
m-louisさん
>コメント、そして興味を持って下さってありがとうございます。この本は意外に知られていない気がするので、是非色々な方に読んで頂きたいと思ったのです。
お祖父さま谷中清水町に下宿なさっていたのですね。芸大のお膝元ですし、今でもそう言う方はおられるらしいです。お祖父さまの暮らした時代と重なりますし、そう思うと写真
のひとびとが、余計身近に感じられてきますね。
2006/09/02(土) 14:04:52 | URL | neon #Fos2lKYE[ 編集]
昌文社版が
文京図書館に所蔵されているようです。

私は上野のジュラク(西郷さんの下)地下
古書市で初版を2000円で入手。
ジワジワと重みが感じられてくる本です。
2006/09/02(土) 07:27:36 | URL | ノリゾ #-[ 編集]
谷中清水町
祖父が遺したメモ帳によると祖父は美校生時代、谷中清水町に下宿していた模様です。その「一銭五厘たちの横丁」は知らなかったのですが、大変興味が出てきてしまいました。

ところで谷中芸工展のスタッフ日記を見ていたら、根津の「N」ではなくて、「D」か「Z」か?ということが話題になっておりました(笑)
http://www.geikoten.net/index.php?id=248

続編、楽しみにしております。
2006/09/02(土) 02:59:39 | URL | m-louis #Fos2lKYE[ 編集]
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