
たまに根津と根岸を間違える人がいるが、今日の画は台東区根岸にあったアパート「鶯荘」。名の通り鶯谷の駅に近いところに嘗て在った建物である。冨田均の「東京私生活」(作品社、2000年刊)には91年当時のアプローチの写真が出ており、私は94年に偶々出くわし、外見は相当に傷んで汚れも酷かったが、看過できない存在感があった。
まず玄関アプローチと2階の屋根のの庇部分が、アールのついた美しいデザインで、入るとソテツの茂った中庭まであり、昭和の初期のモダンでハイカラな雰囲気が感じられる。階段の途中には丸窓があり、廊下も広く、かなりしっかりした造りだったのを記憶している。
だが昨年訪ねてみた時には、やはり既にマンションが聳え、跡形もなくなっていた。
「根岸の里の侘び住まい」と言って、江戸の昔はは隠居所などが多かったという根岸の町。どんなにか寂れた、しかし閑静な雰囲気の処だったのだろう。金杉通りや柳通りに、微かにその面影を辿るしかないが、やはり時々ふらりと行ってみたくなる町でもある。
[鶯荘] 14×18cm 2006
麻紙ボードにミリペン、画墨
≪この記事へのコメント≫
>じんた堂さん
重ねてコメントありがとうございます。
「消失風景」はますます増えているでしょうね。寂しい限りですが。。。本藤理髪店、残して欲しいですね。理髪店のデザインは本当に愛おしいものが多いです。屋号も可愛いのが多いですし。
重ねてコメントありがとうございます。
「消失風景」はますます増えているでしょうね。寂しい限りですが。。。本藤理髪店、残して欲しいですね。理髪店のデザインは本当に愛おしいものが多いです。屋号も可愛いのが多いですし。
先ほどは途中で送信してしまいました。続きですが・・・、根岸にある本藤理髪店も素敵な理髪店で、是非、記録に残したい建物ですね。
富田さんの本は、東京ローカルという雰囲気が濃くて、普段見過ごしていた東京の路地風景をあらためて気付かせてくれますね。「東京私生活」は、本が出た時点で、既に写真の下に「消失」の文字がありましが、いまはもっと増えているのでしょう・・・。
>じんた堂さん
冨田均つながりで、此処も想い出しました次第です。意外と根岸と言うところは把握しにくいかもしれませんね。所謂下町らしい感じともまたひと味違うような気がしますしね。枯淡というか、大人というか。確かに地形は複雑ではないようですが、私もちょっと迷路感覚を味わいました。
冨田均つながりで、此処も想い出しました次第です。意外と根岸と言うところは把握しにくいかもしれませんね。所謂下町らしい感じともまたひと味違うような気がしますしね。枯淡というか、大人というか。確かに地形は複雑ではないようですが、私もちょっと迷路感覚を味わいました。
>tittiさん
この建物はかなり大きいもので、敷地も広かったせいか、存在感もあり、印象的なものでした。できた当時は随分とモダンだったろうと思わせます。
リンクどうぞどうぞ~。光栄です。当方諸事情あり現在リンク表示はしておりませんで、相互リンクにならず申し訳ないのですが。。。
この建物はかなり大きいもので、敷地も広かったせいか、存在感もあり、印象的なものでした。できた当時は随分とモダンだったろうと思わせます。
リンクどうぞどうぞ~。光栄です。当方諸事情あり現在リンク表示はしておりませんで、相互リンクにならず申し訳ないのですが。。。
「鶯荘」とは優雅な名前ですね、それも今は消失風景ですか。ところで、私も「根岸はどこ?」と問われて、はいここと答えられません。数年前の夜、友人と一緒に根岸へ行ったのですが、その後、昼間一人で行ったら全く分かりませんでした。根岸は、それほど複雑な地形ではありませんが、路地が微妙にカーブしていて、思いがけない場所に出たりしました。こういう分かりにくさも、「侘び住まい」には都合が良かったのかも・・・。
見てみたかったですね。
古いモルタル家でも、丸い窓やタイル貼りの壁、角アール処理など惹かれます。
リックさせていただきました。
問題ないですか?
古いモルタル家でも、丸い窓やタイル貼りの壁、角アール処理など惹かれます。
リックさせていただきました。
問題ないですか?
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